仕事でのミスや「もっとこう言えばよかった」「あんなこと言わなければよかった」などコミュニケーションのちょっとした後悔。寝ようとするとつい思い出してしまい、考え始めて眠れなくなることはないだろうか。そんなときにおすすめなのが、『無意識さんの力でぐっすり眠れる本』だ。人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏の本書では、心理学的なアプローチによって、働きすぎている意識をストップし、読むだけで眠くなるメソッドを多数紹介している。今回は本書から、唱えるだけでぐっすり眠れるようになる「魔法の暗示フレーズ」3選を紹介する。(文/小川晶子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

無意識さんの力でぐっすり眠れる本Photo: Adobe Stock

考えても仕方ないのに、グルグル思考が止められない

「今日のプレゼン、時間配分を間違えて失敗したなぁ…。期待してくれていた○○さんに申し訳ない…」

「バタバタしているときに電話でお願い事をされて、感じの悪い返し方をしちゃった…。でも、こっちの事情をもう少し聞いてくれてもいいのに」

 夜、寝ようとすると思い浮かんでくる今日の失敗。大きなトラブルになっているわけではないけれど、考え始めると落ち込んだり腹が立ったりしてなかなか寝付けないことはないだろうか。

 グルグル思考が止まらなくなってしまうのだ。考えて解決すればいいが、まずそんなことはない。

 しかし、「考えても仕方ない、忘れて早く眠ろう」と思えば思うほど、目が冴えてくる。

意識の働きすぎを止めて、無意識に委ねる

「眠れない」という状態は、簡単に言うと、意識をフル稼働している状態だ。

 心理カウンセラーの大嶋信頼氏は、「意識が働きすぎている状態を『暗示』によってストップさせ、無意識に委ねることで眠れるようになります」と言っている。

 寝ている間に無意識が記憶や感情を整理してくれるから、意識の力でなんとかしようと思わなくていいのである。

朝起きるとモヤモヤが晴れてスッキリしているのは、ごちゃごちゃして整理できなかった記憶と感情を、無意識が寝ているときにちゃんと整理してくれたから。
「寝て嫌なことを忘れる」と表現したりしますが、実際は忘れているわけではなくて、無意識に記憶を適切に整理してもらっているのです。(P.33)

 意識の働きを止め、無意識を働かせるという心理学の手法に「催眠療法」がある。

 通常、催眠は丁寧にやると時間がかかるのだが、大嶋氏は催眠導入に長時間かけたときと同じくらい効果を発揮する「暗示フレーズ」を考案した。実際、クライアントに使ってもらって効果があったという。

中途覚醒の悩みにも効果てきめんだった暗示フレーズ

 本書には、頭の中で唱えるだけで無意識を働かせることになる、つまり、よく眠れるようになる「魔法の暗示フレーズ」が10個掲載されている。どれもすぐに覚えられそうな短い言葉だ。

 長い文章を覚えて一生懸命唱えないといけないんじゃないの? そんな短い言葉だけで本当に眠れるようになるの?

 そう思った人も多いだろう。私も最初はそう思った。

 だが、実際にやってみると、不思議なことに本当に効果があった。

 私自身は夜中に目覚めてしまい、失敗など余計なことを考え始めてどんどん眠れなくなることに悩んでいたのだが、そういえば……といくつかの暗示フレーズを思い出し、唱えることで眠れてしまった。

 私の場合、本書の中でもっとも効果を感じたのが暗示フレーズなのである。

 そこで今回は、仕事や人間関係のちょっとした失敗を思い出して眠れないときに唱えたい暗示フレーズを3つ紹介する。

1.「夢まかせ」
「この失敗で、あの人に嫌われたらどうしよう」「二度と声がかからなくなったらどうしよう」など、最悪なことを想像してしまう人におすすめ。
ストレスの処理を自分で頑張ろうとするのではなく、夢に任せてしまうのがいい。

2.「意味がない悩みは存在しない」
「こんなに悩んでも意味がない」とわかっているのに、考え続けてしまう人におすすめ。
意味がないからやめようと思ってもやめられないが、この暗示フレーズを唱えると不思議なことにいつの間にか眠っており、朝には心が軽くなっている。

3.「喜びは嫉妬の雨具」
「どうしてあの人は私にあんなことを言ったのだろう」「馬鹿にしているのでは」などと、人から言われたちょっとした言葉が頭から離れず、ネガティブ思考に陥ってしまうときに。
大嶋氏は「嫉妬は“動物的な発作”」で、「自分よりも下の立場だと思っている人が、自分より優れたものを持っている、という条件で」起きると言っている。
相手からの嫉妬を受けると、喜びや幸せを感じること自体が怖くなってしまう。ちょっとした失敗をわざわざ思い出して不快な気分になるのは、喜びや幸せを感じることが怖いからかもしれない。

 暗示フレーズはどれもわかるようでわからない、面白い言葉だ。

 唱えると「これ、どういう意味?」「こういうこと?」と連想が広がっていき、いつのまにか眠っている。

 本書にはそれぞれのフレーズを唱えて睡眠と人生が改善していった人のストーリーが載っているので、それを読むとより効果的だろう。