加えて「日産がガバナンス体制の強化として『指名委員会等設置会社』に移行したのが19年6月で、これにより指名委員会が社長に選んだのが内田氏だ。内田社長中心の集団指導体制が崩れた責任は、取締役会にもある。仏政府がバックにあるルノーやゴーン時代に招聘された社外取締役が依然、取締役に残っている点も気がかりだ。これらの取締役も一新して、真のガバナンス強化を行うことが日産再生・ブランド回復へのカギを握る」とも答えた。

 そもそも、現行の経営陣は複雑で数が多いのが問題だ。取締役は12人で、独立社外取締役が8人。残りの4人は内田社長と坂本秀行副社長にルノー会長のスナール氏とルノー筆頭社外取締役のフルーリォ氏で、約36%の筆頭株主であるルノーから2人を受け入れている。

 執行役としては、内田社長に加え、坂本・星野朝子・中畔邦雄ら3副社長とスティーブン・マー中国マネジメントコミッティ議長(前CFO)を加えた5人。さらに、経営会議に当たるエグゼクティブ・コミッティ(EC)が11人おり、エスピノーサ氏はこの最年少メンバーだ。

 これにマネジメントコミッティ議長として、世界主要各地域の責任者が4人いるほか、執行役員が専務・常務にフェローを合わせて42人存在する。これが役員構成の全体だ。

 今回、内田社長と共に坂本・星野・中畔ら3人の副社長と経営企画担当の渡部英朗ECメンバーが退任し、さらに役員の2割を削減する方針だ。これは、46歳という経営者としては若手のエスピノーサ氏の社長抜てきと同時に、エスピノーサ体制へのシフトを明確にするために経営陣の刷新を図るものだ。

 だが、トヨタ自動車やホンダなどと比較するとそれでも多いし、経営体制自体、屋上屋を架している感がある。取締役メンバーから執行役員に至るまで、抜本的なガバナンス改革が求められる。

 ここで比較したいのが、トヨタのガバナンス体制だ。