デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はキヤノン、ニコンなどの「カメラ/光学/複合機」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
富士フイルムは過去最高の収益
利益が大幅減で苦戦するニコン
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を絞り、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の電子部品業界4社。対象期間は2024年7~9月期の四半期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。なお、今回分析対象とした4社のうち、キヤノンは12月期決算、他の4社は3月期決算となっている。
・キヤノン
増収率:5.3%(四半期の売上高1兆798億円)
・ニコン
増収率:▲2.5%(四半期の売上高1689億円)
・HOYA
増収率:13.8%(四半期の売上高2147億円)
・富士フイルムホールディングス(HD)
増収率:5.2%(四半期の売上高7657億円)
カメラ/光学/複合機業界の4社の四半期増収率は、ニコンだけマイナスだった。同社は4~9月期累計(中間決算)の増収率は前年同期比0.4%増にとどまり、純利益は69.8%の大幅減だった。
一方、キヤノンは第1~3四半期累計で売上高が過去最高、富士フイルムHDは中間決算で売上高、営業利益ともに過去最高だった。HOYAも中間決算の増収増益率が2ケタ増で、純利益は同期間で過去最高と好調だ。
なぜニコンだけ苦戦を強いられているのか。他の3社が好調な要因と合わせて、次ページ以降で詳しく解説する。