
「2026年度から新卒一括採用を廃止する」と発表した富士通。決断の背景には、日本型雇用を根本から問い直す全社戦略がある。1993年に成果主義を導入した“失敗”から30年、富士通はジョブ型人材マネジメントへ完全移行することで、何を成し遂げようとしているのか。(ノンフィクションライター 酒井真弓)
富士通、2026年度から新卒一括採用を廃止
富士通は2025年3月7日、2026年度から新卒採用を大きく変えると発表した。一斉入社・一斉教育を基本とした従来型の新卒採用をやめ、通年で職務や専門性に応じた採用を行う。修士卒や学部卒といった学歴に基づく一律の初任給も廃止し、入社時からジョブや職責の重要度に見合った処遇を提供。優秀かつ多様な人材の獲得を目指す。
この変更に合わせ、従来の無償インターンシップに加えて、1~6カ月にわたる有償の長期インターンを実施。給与を支払う雇用関係のもと、実ビジネスに携わる機会を提供することで、専門スキルを持つ学生や既卒者の参画を増やしたいという。
2020年から進めてきた「ジョブ型人材マネジメント」がさらに本格化した格好だ。