リコー、ジョブ型制度で30代管理職4.4倍に 自律型人材育成で競争力強化Photo:Cesc Maymo/gettyimages

連結売上高約2兆円、グローバルで約8万人を擁するリコーグループ。2020年、同社は複写機需要の減少を背景に、OAメーカーからデジタルサービスの会社へ変革を宣言した。会社が変わるために、核となったのは人事戦略だった。2022年には「リコー式ジョブ型人事制度」を導入。他にも自律型人材の育成、リスキリングなどを推進している。年功序列から脱却して若手管理職を登用するという目的は、2年間でどこまで達成できたのか。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

OAメーカーからデジタルサービスの会社へ

 リコーは2020年、OAメーカーからデジタルサービス企業へと変革を宣言した。背景には、ペーパーレス化による複写機需要の減少がある。2022年までに、デジタルサービス関連の売上比率は約40%まで成長。2025年度までに60%へ引き上げる計画だ。

 会社が変わると同時に、社員に必要なスキルも大きく変化している。複写機販売と異なり、デジタルサービスでは顧客ニーズが多様になる。より幅広い知識と自律的な判断力が求められるようになった。全社員がデジタルサービスに直接関わるわけではない中で、いかに全社的な変革を進めていくかも課題だという。

 リコーは、どのように人事制度を変革してきたのか。同社CHRO(最高人事責任者)の長久良子さんが、Works Human Intelligence社のCOMPANYユーザー会で8月30日に行った講演と、事後取材で語った内容を元に紹介する。

リコー「待ったなし」のジョブ型人事制度導入から2年、本当に「若手が働きたい会社」になれたのか?リコー コーポレート執行役員 CHRO 長久良子さん Photo by Mayumi Sakai