
続く売り手市場下で、初任給引き上げをはじめ若手の処遇改善や人事制度の見直しに取り組む企業が増加している。学生獲得競争が激化する中、人気を集めた企業はどこか。全5回の連載「就職人気企業ランキング2026卒就活【後半戦】調査」第2回は文系男子のランキング完全版を取り上げる。(調査・分析/ダイヤモンド・ヒューマンリソース 経営企画室室長 高村太朗)
*著者の苗字「高」ははしごだか。
総合商社がトップ5独占
伊藤忠商事がV6
伊藤忠商事が6年連続で後半戦調査1位となったほか、三井物産(2位)、住友商事(3位)、丸紅(4位)、三菱商事(5位)と総合商社がトップ5を独占した(下表参照)。
総合商社は、事業領域の広さや世界を舞台に活躍する商社パーソンのイメージから、学生の憧れは根強く、就職マーケットにおいて不動の人気を誇る。
中国経済の不調に伴う資源価格下落の影響を受けながらも、2024年4~12月期連結決算(国際会計基準)の当期利益は大手7社中6社が前年同期比で増益。幅広い事業領域で着実に収益機会を捉えていることに加え、成長分野へのシフトに向けた低採算事業の売却益や円安が支えとなり、好業績を維持している。
1位の伊藤忠商事は、「利は川下にあり」のスローガンの下、市況に振り回されないポートフォリオを構築してきた。鉄鉱石価格下落の影響を受けたが、機械や化学品のほか企業のデジタル化需要を捉えた情報・金融などの分野が好調だ。
朝型フレックスタイム制度をはじめとした先進的な「働き方改革」への取り組みに加え、全社員を対象とした固定給の引き上げや、業績に応じて年収を大幅に引き上げることを発表するなど、社員の待遇改善にも積極的だ。
2位の三井物産は、24年3月期決算において商社で初めて2年連続の純利益1兆円超を達成。今期は減益予想ながら、好調な業績を維持している。インターンシップを本選考プロセスに組み込み、参加インターンと初期配属の部門・職務グループを一部ひも付けて学生の志向と仕事のマッチングを進めているほか、フレックスタイム制やリモートワーク制など、ワークスタイルの改革にも取り組んでいる。
四半期ごとに100以上のポストを公開し、上司の承認なしに応募できる「人事ブリテンボード制度」をはじめ、社員の自律的なキャリア形成(挑戦・経験・学び)を後押しする仕組みも学生に好評だ。
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