打合せや商談前の固い空気をうまくほぐせず、失敗してしまう。話題の書籍『対話するプレゼン』の著者、岩下宏一は、「ビジネス会話では、その場の緊張をほぐす手段を知らないと損をする」と言います。本記事では、プレゼンの場を「一方的に説明する場」から「対話の場」に変えることを提案した『対話するプレゼン』より、本文の一部を抜粋・加筆・再編集してお届けします。

打合せ前の固い空気。三流は何もできず、二流は微笑む。では一流は?Photo: Adobe Stock

「タテマエで話す場」を「本音で話す場」に変えてしまう

「対話するプレゼン」では、商談や企画提案の前の「空気づくり」についてもいろんな方法を説明しています。

 その中のひとつとして、最寄り駅から会議室に入るまでの間に目にしたことや、ふと気づいた「良いこと」を相手に伝える、ということがあります。

 ここで重要なのは、お世辞を言うのではないということです。

 本当に良いと感じたことや、素敵だと思ったことを率直に伝えると、相手も自然と喜んでくれます。

 それは、相手(やその会社)の良さを見つけて受けとめる行為でもあります。

 さらに、相手の笑顔を見ることで、自分自身も落ち着き、良いコミュニケーションのスタートを切ることができるでしょう。

「駅からすぐ来ることができました。地下を通れるので、雨の日でも濡れずに済むんですね。とても便利な場所にあっていいですね」
「受付に飾られている絵、あたたかい色使いでほっこりしました。何か御社と関係のある画家さんの作品なのでしょうか?」
「(会議室で)眺めが素晴らしいですね。このような素敵な場所をご用意いただき、ありがとうございます。気持ち良くお話ができそうです」

 重要なのは、「思ってもいないことは絶対に言わない」ということです。

 不思議なことに、ウソは必ず相手に伝わってしまいます。

 本当に感じたこと、実感したことだけを伝えることで、言葉に真実味が宿ります。

 たとえ小さなことでも、自分が実際に感じたことを言葉にすることが大切です。

 そのためには、日頃より相手や周囲をよく観察する必要があります。

 まずは自分が心から言えるポジティブなホンネを伝えることで、相手との信頼関係を築いていきましょう。