
「クルマ好きの聖地」で知られる大黒PA。最近はインバウンドによる迷惑行為や、違法な不正改造車が集まることで問題視されています。しかし、警察がいくら取り締まりをしても、構造的にクルマが集まりやすい特徴があるのです。激安で首都高を走れて、駐車料金も掛からない、クルマ好きが狂喜乱舞する実態とは?(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
大黒PAが人を集める“魔力”とは
首都高速の大黒パーキングエリア(PA)は、クルマ好きが仲間を求めて集まり、その集まったクルマを観覧しに来る人も多く、週末の夜は大混雑するのをご存知でしょうか。
今では海外からの観光客がタクシーに乗って来るほどの有名スポットとなっています。なぜ、大黒PAは人々を魅了するのでしょうか?
大黒PAがオープンしたのは1989年(平成元年)9月でした。1989年といえば、日本のスポーツカーが花開いた年です。この年に、日産自動車から4代目フェアレディZ(Z32)とR32スカイラインGT-Rが登場し、ホンダはNSXを、マツダはユーノス・ロードスターを発表しました。世間はバブル景気で、夜の六本木ではメルセデス・ベンツ190Eが“六本木のカローラ”と揶揄(やゆ)されていました。
大黒PAの開業は、横浜ベイブリッジの開通と同じくタイミングでした。ベイブリッジから見える夜景は美しく、当時は違反承知でベイブリッジ上にクルマを停めて夜景を見るカップルがあふれ返っていました。なんたってバブルですから、日本中が浮かれていたんです。