「子どもが感情的になり、言うことを聞かない」「他の子と比べて、うちの子が遅れていないか心配」「褒美を与えないと頑張れない子になりそうで不安」など、幼児の時と比べて、親の悩みが尽きません。小学校6年間は、良くも悪くも親の影響を受ける最も多感な時期。自分で考えて学ぶ子は、どのような生活環境にあるのか。「指導実績」×「心理学」×「ベネッセのデータ」でわかった最高の教育を「声かけ」というシンプルな方法でお伝えします。誰でも一度は感じたことのある子育ての悩みを、簡単に解決するには「声かけ」を変えることです。『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より、「ほめ方」「しかり方」よりももっと大事な「声かけ」で、「子育てあるある」に対応したノウハウをお伝えします。

子どもが言うことを聞かなくて命令口調になってしまう親に伝えたいことPhoto: Adobe Stock

「どう思う?」と問い返す

 ただ子どもを見守るだけでは、自分で考え判断する子にはなりません。行動がうまくいってもいかなくても、親はその経験をいい経験に変える子になってほしいと願うものです。

 大切なのは、「○○しなさい」と極力言わないことです。「どう思う?」と疑問形で聞き、答えはできる限り言いません。スムーズに問い返しをすることで、自分で判断できるよう、背中を押します。

 あるとき、夜更かしをやめない子に手を焼く親御さんがいました。

「うちの子は、毎晩夜更かしをしてしまい、朝起きるのが辛そうです。早く寝るように言っても、『あと少し』と言ってテレビやゲームを続けてしまいます。どうすれば、早く寝る習慣をつけられるのでしょうか?」

 多くの親は、「○時に寝て、○時に起きなさい」「テレビとゲームは禁止!」と命令することで改善を促します。

 ゲームやテレビは中毒性があるので、時と場合によっては、命令口調が必要なときもあります。ただ、命令すると、子どもが自分で考える機会を奪ってしまいます。ですから、命令を極力少なくするように意識することがとても大事です。

「早く寝なさい!」

 ではなく、

「そもそも、なんで早く寝なきゃいけなかったんだっけ?」

 と問いかけます。子どもは考えながら、

「次の日の学校に行きたくなくなるから」
「健康な生活ができなくなるから」

 など、真っ当な答えを出してきてくれます。もし出てこなかったり、反発したりするようなら、

「早く寝られるようにするためには、どうしたらいいと思う?」

 と問います。

「ゲームは20時までにやめる」
「宿題は帰ってきたらすぐやるようにする」
「起きる時間を決める」

 これらを、子どもが言うのを待ちます。よくない声かけは、質問しているようで言わせるように仕向けるもの。子どもから学ぼうと聞く姿勢が大切です。言葉にすると同じでも、親の心の持ち方だけで大きな違いが生まれてくるのです。

(本原稿は、『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より一部抜粋、再編集したものです)