世界で最も愚かな投資、米国債より好成績Photo:Anadolu/gettyimages

 2017年にアルゼンチンの100年物ドル建て国債を購入した投資家は、デフォルト(債務不履行)を繰り返す国の超長期債を買うなんて世間知らずも甚だしいと笑われた。案の定、わずか3年後に同国は利払いを停止した。

 ところが、アルゼンチンにこだわり続けた投資家が最後は笑うことになった。これらの投資家がデフォルト後に受け取った債券と、当初の100年債の高いクーポン(利息)を合わせると、現在では当初の投資額を上回る価値がある。それだけでない。「安全な」米国債に投資した場合よりもはるかに高い価値となっているのだ。

 アルゼンチン債が好転したのは、選挙戦でチェーンソーを振り回していたハビエル・ミレイ大統領が、肥大化した同国政府の縮小に取り組みながら支持率を維持することに成功したからだ。

 最終的な利益は高利回りによるところも大きい。投資家が受け取るクーポンは、債券価格の下落分(約25%)を十分に補っている。クーポンを同じ債券に再投資していれば、投資家は50%を大きく上回るリターンを得ていたはずだ。一方、米国の30年債のリターンはマイナス10%程度、米国債指数はわずかなプラスにとどまっている。

 最も愚かとされた投資先で得られた利益は、三つの重要な教訓を思い出させてくれる。「リスクが明白な場合、十分な報酬が得られることが多い」、「リスクが見えにくい場合でも、リスクは存在する」、そして「急進的な政治変化は予測が難しい」の三つだ。それぞれについて見ていこう。