
ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクの内紛は、元社長の金田創氏が実質オーナーと融資先との不適切な関係を調査しようとしたことに端を発した。その金田氏が初めて取材に応じ、社内の公益通報窓口に不正を公益通報した直後に解任された経緯を明らかにした。証言が事実であれば、公益通報者保護法違反に当たる可能性もある。緊急特集『ソーシャルレンディング 闇の紳士録』の#2で、金田氏の独占インタビューを公開し、不正の実相や“黒幕”である実質オーナーの人物像について明らかにする。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
「不正を調査しようとしたら突然解任された」
クラウドバンク元社長が明かす内紛の実態
――金田さんは昨年6月にクラウドバンク社長を、そして今年1月には子会社のクラウドバンク・フィナンシャルサービスの社長を退任しました。なぜ、突然の解任劇が起きたのですか。
実は、私はまだクラウドバンクから正式な解任理由の通知を受けていないんですね。従って正式な理由は分からないです。
解任された今年1月31日の状況をお話しします。その金曜日の朝、普通に恵比寿の本社に出社し、夕方にクラウドバンクの取締役弁護士を含めたクラウドバンクの融資先に関する打ち合わせがありました。私は午後5時ごろに退社しました。
その打ち合わせはWeb会議だったのですが、参加されているクラウドバンク取締役の弁護士からは私の解任の話は出ず、むしろその会議で課題を提示され、それを翌週月曜日の会議で共有する約束をして終わりました。
つまり、そのときは私の解任は決まっていなかったか、または解任することが分かっていたのに私に課題を出したかのいずれかですが、普通に考えると前者であると思っています。しかし翌朝の土曜日に会社のメールを確認しようと思ったら受信できず、そこで会社に行ったらセキュリティーカードが使えなくなっていたんです。
週明けの2月3日朝、クラウドバンクの安達哲也社長にメールで確認したら、「あなたは解任されました」と言われました。「理由は何ですか」と尋ねたところ、「私から解任理由につきましてはご説明する意思はございません」と言われました。こんな感じで、いきなりの“ロックアウト”だったんです。
会社の代表者を解任して変更登記をする場合、法務局に取締役会議事録などの書面が提出されます。私はクラウドバンク・フィナンシャルサービスの代表だったので、それを閲覧することができます。そこで登記変更がされた後、法務局に議事録を確認しに行きましたが、ここにも理由が書いていないんですね。
――では、誰が金田さんを解任したのでしょうか。
クラウドバンクは、個人投資家を中心にこれまでに3000億円の募集実績があるソーシャルレンディング最大手だ。その現場を長きにわたり取り仕切ってきたのが金田創氏である。誰が、どういった理由で金田氏を突然解任したのか――。金田氏が次ページで驚愕(きょうがく)の事実を証言する。