
ソーシャルレンディング最大手、クラウドバンクには、開示資料には一切名前が出ていない実質オーナーが存在する。この実質オーナーが別の上場会社に手を伸ばし、クラウドバンク株式を道具にした「錬金術」のような取引を行っていたことが分かった。緊急特集『ソーシャルレンディング 闇の紳士録』の#4で、謎に包まれた素性を、関係者への取材で明らかにする。(フリーライター 村上 力、ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
クラウドバンクが利払い遅延を公表
投資家の出資金約45億円が債務不履行か
4月1日、クラウドバンクは、約90本の太陽光発電所プロジェクト向けファンドの利払い遅延を公表した。債務不履行となっている出資金の総額は約45億円とみられ、同社が組成する他のファンドの投資家や、ソーシャルレンディング業界全体に動揺が広がっている。
3月25日配信の記事『【スクープ】ソーシャルレンディング最大手「クラウドバンク」、実質オーナー関係会社が融資先から“コンサル料”5.5億円受領!出資金が迂回か』と、28日配信の記事『「クラウドバンクの不正を公益通報した後に解任された」元社長が“黒幕”との内紛の実態を初告発!』で報じた通り、クラウドバンクは元社長の金田創氏を今年1月に“ロックアウト”により排除した。業務の引き継ぎもなかったことから、金田氏が担当していた融資回収業務に支障が出て、今回の利払い遅延につながった可能性がある。
金田氏解任の背景にあるのが、クラウドバンクの実質オーナーとの対立だ。その存在は、クラウドバンクの公表資料にはどこにも記されておらず、投資家は知る由もない。謎に包まれた素性が、取材で初めて明らかになった。