上場廃止ラッシュ2025 東証の淘汰がついに始まる!#番外編Photo:PIXTA

東京証券取引所プライム上場で、パーキンソン病患者専門の老人ホームを運営するサンウェルズ(苗代亮達社長)の全42施設中41施設で、介護報酬の不正請求が行われていたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。サンウェルズは昨年9月に不正疑惑の指摘を受け、社内調査委員会を設置、決算発表を延期した。その期限が2月12日に迫る中、事態は不正を認知しながら株式の売り出しを敢行した経営陣のインサイダー取引疑惑に発展する兆しも見せている。特集『上場廃止ラッシュ2025』の番外編で、上場廃止もあり得る同社の実態に迫る。(フリーライター 村上力、ダイヤモンド編集部 重石岳史)

2022年のグロース上場以来急成長
野村證券が主幹事で株式売り出し

 サンウェルズは石川県金沢市で創業。2024年9月時点で、パーキンソン病専門の「PDハウス」など介護施設を42施設運営している。直近の24年9月期は売上高214億円、営業利益35億円を稼いでいた。

 野村證券の主幹事により22年に東京証券取引所グロース市場に上場して以来、売り上げ・利益共に前期実績を大幅に更新する好調な決算を続け、23年春に時価総額は1000億円を超えた。昨年7月、東証プライムへ市場変更。30年までに140施設、定員を7700人に増やす経営計画を策定していた。

 ところがその矢先に、ある疑惑が浮上する。共同通信が昨年9月、サンウェルズが介護報酬の不正請求を行っているという記事を配信したのである。共同は、サンウェルズで過剰な訪問看護がマニュアル化されており、実際とは異なる記録で介護報酬が請求されていると指摘していた。

 サンウェルズは報道直後に疑惑を否定。9月中に弁護士や社外取締役による特別調査委員会を設置し、疑惑の調査に入った。その結果、11月に公表予定だった第2四半期決算の提出を今年2月12日まで延期していた。

 決算の提出期限が迫る中、ダイヤモンド編集部は、サンウェルズの不正疑惑の実態をつかんだ。なんと、同社が運営するほぼ全ての施設で、介護報酬の不正請求が行われていたのである。