あんぱんもらった喜びを「瞳の動きで表現する少年」、ジブリ超えの魔法に朝から胸キュン【あんぱん第8回レビュー】『あんぱん』第8回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第8回(2025年4月9日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

可愛すぎる!アニメかと思うような
千尋の瞳の変化に大注目の第8回

 嵩(木村優来)の弟・千尋(平山正剛)がかわいすぎる。お顔はもちろんのこと座り方までかわいい。でも見た目だけでなく演技力もあるから感心するばかり。

 第8回では、のぶ(永瀬ゆずな)がヤムおじさん(阿部サダヲ)に頼って、自宅であんぱんを作って売ることになり、できた一個を嵩が千尋に食べさせる。そのときの瞳の変化には目を見張るものがあった。アニメかと思うような変化。まずはあんぱんのにおいをかぐ。それから食べる。「おいしいね」と目を輝かせる。

 嵩が思わず、昔みんなであんぱんを食べたことを覚えているか?と聞くと、大きな瞳がみるみる悲しそうに潤んだ。そして「お母ちゃま」と登美子(松嶋菜々子)の名を呼び、「お兄ちゃん。お母ちゃまいつ帰って来るが?」と心配する。

 幼い頃に、御免与町の寛(竹野内豊)の家に養子に出された千尋は、嵩と家族であったことをすっかり忘れてしまっているようだったのに。決して忘れてはいなかった。いや、もしかして、あんぱんを食べて魔法が解けたのかもしれない。『千と千尋の神隠し』で言ったら、名前を失くしていたハクがほんとうの名前を思い出した瞬間のようであった。

 やっぱりあんぱんにはなにか不思議な力がある。

 ここから、第8回を順に振り返ろう。