日本でも普及へ向けた動きが進む電動キックボード。特集「来るか!? 電動キックボード旋風」(全5回)のVol.3では、日本市場でサービス展開を予定している事業者を紹介する。米国などに比べて小型モビリティに対する規制が厳しい日本だが、シェアリング型の電動キックボード市場には、すでに7社が参入を決めている。その背景には、小型モビリティが単に移動だけではなく、その周辺にある需要を満たすという期待がある。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
今夏から続々と
海外勢も上陸
海外に遅れて、日本でもシェアリング型電動キックボードのサービス提供が始まりつつある。下表は参入済みの国内外7社(海外4社、国内4社)の一覧だ。
現在、電動キックボードは道路交通法上、原動機付自転車(原付)と同じ扱いとなっており、公道を走る条件が厳しいため、正式な商用サービスはほとんど展開されていない。それでも7社も参入しているのは、それだけ市場の成長力に対する期待が大きいからだろう。
世界最大手の米ライム(運営企業はニュートロン・ホールディングス)は2019年9月、福岡市での実証実験という形で日本に上陸した。ライムは米ベイン・キャピタル・ベンチャーズや米アンドリーセン・ホロヴィッツなど世界的な投資ファンドから出資を受けているが、日本進出に当たってはKDDIとデジタルガレージが出資者となり、業務を支援している。
ライムのデイビッド・リヒターCBO(最高業務責任者)は、「日本市場は2~5km程度の比較的短い距離を移動する人が多いという点で、大きな潜在力がある。利用者にとってシェアリング型の電動キックボードは、費用対効果の高いサービスになるはずだ」と分析。サービスの特徴に合う都市として、東京や札幌、福岡を挙げている。「グローバル展開で蓄積された経験を生かし、普及に向けて規制当局と協力しながら進めていきたい」(リヒター氏)という。