田中唯翔
#10
移動需要の回復により、世界の空に再び活気が戻っている。だが、その追い風をどれだけ成長につなげられたかは、航空会社によって大きな差がある。為替や収益構造の違いが、業績の明暗をくっきりと分けたのだ。コロナ前後の世界の航空会社の売上高ランキングを作成すると、国内2強は順位を下げていることが分かった。

#7
2025年2月末、ミッド・スモールPEファンドのJ-STARが医療スタートアップMTUを買収したが、わずか1カ月後に当時の原拓也社長を「重大な疑義」で電撃解任した。その背景には、原氏による着服疑惑やセキュリティークラウドサービスの架空疑惑があった。これらの疑惑に加え、MTUが掲げた事業内容と実態の乖離(かいり)を検証する。歯科医院向けポータルや医療クラウドを標榜(ひょうぼう)しながら、実際にはSNS運用支援を中心に展開していた同社。その実態からJ-STARの投資判断の甘さを浮き彫りにする。

#9
航空事業の“おまけ”と見られてきたマイル事業の重要性が増している。コロナ禍を経て航空会社の収益構造は激変。国内線は実質赤字に沈み、国際線も一過性の“バブル”にすぎない状態で、航空一本足の経営では次の危機への不安は募る。巨人がひしめく「ポイント経済圏」競争にJALはどう挑むのか。同社が描く非航空事業の戦略を追う。

#8
コロナ特需が一服した今も、航空貨物の需要は高止まりを続けている。ANAは日本貨物航空を買収し、JALも独自戦略で輸送能力を拡大。各社は成長が見込まれるアジア・北米路線の強化に動きだした。だが、貨物ビジネスは市況の波に翻弄されやすく、ハブ空港を巡る都市間競争も激しさを増している。ANA・JALは変動の激しい貨物事業をどう安定拡大していくのか。両社の知られざる戦略と、その競争構図を解き明かす。

#7
“国際線バブル”が止まらない。インバウンドの追い風に乗り、ANAホールディングスも日本航空(JAL)も空前の好況を迎えている。同じようにもうかって見える2社だが、その裏には収益構造と路線戦略の明確な差がある。どちらが持続的成長を手にするのか。狂喜乱舞する国際線事業の裏側を読み解く。

#6
コロナ禍で旅客が激減した空港に人の流れが戻ってきた。とはいえ、円安と物価高でコストは増大し国内線を中心にビジネス客は減少、事業環境は様変わりした。そんな逆風下で羽田空港などの幹線空港よりも旅客数を伸ばしているのは、実は地方空港だった。全国97空港の年間旅客数を集計し、コロナ前比増加率が高い空港ベスト20をランキング。中には増加率が100%を超える空港も存在することが判明した。

#5
J-STARは、中堅・中小企業を投資対象とするミッド・スモールPEファンドの雄として業界内でも一目置かれている。ところが、その名門ファンドで今年、前代未聞の投資崩壊劇が起こっていた。炎上案件は、医療系スタートアップのMTUである。買収完了からわずか1カ月後、J-STARはMTUの原拓也社長を「重大な疑義」により電撃解任。その背景にある“衝撃疑惑”がダイヤモンド編集部の取材で判明した。本稿では、買収後に明らかになったMTUの事業実態や不正行為に関する疑惑の数々を、投資責任者が周囲に明かした内容とともに公開する。

#5
「中長距離LCCは成功しない」――その常識を打ち破ったのが、日本航空(JAL)傘下のZIPAIR Tokyo(ジップエア)だ。同社は欧州で撤退が相次いだビジネスモデルを、うまく日本・アジア・北米間で転用。2025年3月期の業績ではJALを上回る収益性を実現している。急成長を支える突破口はどこにあったのか。そして次に狙う新たな就航都市とは。ジップエアの成長戦略を西田真吾社長が語った。

#4
中部地方を拠点とする地域航空会社、フジドリームエアラインズ(FDA)。独自の路線戦略で全国に展開してきたが、コロナ禍以降はコスト増とビジネス需要の減少で窮地に追い込まれている。そうした中、日本航空(JAL)出身の本田俊介氏が社長に就任。FDAはJALとのコードシェア拡大など連携を一段と強化している。その狙いと成長戦略、業界再編の可能性を本田社長に聞いた。

#3
インフレと円安が直撃し、国内線の収益性が急速に悪化している。苦境に立たされているのはLCC(格安航空会社)も例外ではない。既存の航空会社のタイムセール乱発によって価格競争が激化し、“安さ”という武器が通用しなくなりつつあるのだ。そんな中、新たなビジネスモデルで存在感を示すLCCが現れた。次の成長戦略を描けるのは、どの会社か。

#2
コロナ禍で事業構造が大きく変わった国内線は、ビジネス客減少と費用増で収益力が低下。各社を支えてきた公的支援も来年度で終了し、本当の“地獄”がこれから始まる。収益性を改善できなければ、航空会社の淘汰や再編が始まる可能性もあるが、業界の“ある事情”が収益改善を阻んでいる。それは一体何か――。

#1
インバウンド需要の急増で国際線が活況を呈し、ANAとJALの業績は過去最高水準に回復した。しかし、国内線が赤字基調に陥るなど事業環境は大きく様変わりしており、コロナ禍に掲げた中期経営計画の目標を本当に達成できているのかには疑問符が付く。両社の中計の目標達成度と事業構造の違いを分析し、ANAとJAL、一体どちらが有言実行できているのかを明らかにする。

#13
商船三井がクルーズ船事業を拡大している。2024年12月に「MITSUI OCEAN FUJI」を就航させ、25年8月には新クルーズ船「MITSUI OCEAN SAKURA」の船名を発表、さらに3隻目を投入する考えだ。国土交通省がクルーズ人口100万人を掲げる中、ライバルの日本郵船も「飛鳥III」を就航させるなどクルーズ船市場が盛り上がってきている。商船三井グループの商船三井クルーズ向井恒道社長に、拡大戦略を取る理由とライバル日本郵船との関係、日本のクルーズ業界の課題を聞いた。

#9
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1199人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。今回は、陸運業界の役員報酬ランキングを公開する。

東日本旅客鉄道(JR東日本)が新たに発表した中期経営計画で、売上高1兆円アップの大胆な目標をぶち上げた。鉄道事業と生活ソリューション事業の二軸経営での成長を目指す一方で、1兆円のうち半分をM&Aによって補完すると宣言。財務トップの伊藤敦子副社長に、新中計で掲げる成長戦略の真意とM&Aのターゲット分野を聞いた。

#24
トラックドライバーの労働時間が制限される「2024年問題」に直面した物流業界。2025年の今もなお働き手不足にあえいでおり、待遇改善が業界全体の課題とされているが、各社の実際の待遇に賃上げの結果は表れているのか。主要15社の最新の有価証券報告書を基に平均年間給与を比較すると、大きな賃上げ格差があることが判明した。

#22
コロナ禍を経て明暗が分かれた航空業界。国際線好調で業績が回復したANAやJALは高水準の賃上げを実施する一方、国内線依存の航空会社では収益性が低下し、平均年間給与の増減率にも差が生じている。本稿では、航空会社5社の有価証券報告書を基に平均給与を比較。職種別の傾向も踏まえ、コロナ後の航空業界における「待遇格差」の実態を明らかにする。

#14
業績回復とともに、コロナ禍の経験から非鉄道分野へ注力する鉄道業界。給与にも変化が表れ、初任給を大幅に引き上げる動きも出ているが、各社の実際の待遇にはどの程度の差が生じているのか。主要19社の最新データを基に、給与ランキングと待遇面での注目の動向をまとめた。

“海運バブル”後も高水準の給与が続く海運業界。昇給スピードも加速し、年収1000万円台に早期到達する社員も少なくない。加えて業界大手の日本郵船や商船三井は、中期経営計画に基づく事業拡大に向け、中途採用を大幅に強化している。知られざる大手海運会社の待遇と人事を明らかにする。

#12
日本郵船グループの郵船クルーズが34年ぶりの新造船「飛鳥III」を7月20日に就航させる。これにより同社はクルーズ船2隻体制となり、事業が拡大。クルーズ船市場が盛り上がりを見せている。6月に社長に就任した西島裕司氏が、飛鳥IIIの就航秘話やオリエンタルランドとの提携の狙いを語った。
