MSC基本計画を実行する際には
「活動計画」をベースに進捗管理

 基本計画を実行する際は、基本計画の「我々の活動計画は何か」をベースにします。

 活動計画が示す1つひとつの活動テーマについて担当者と、目標・期限(日程)を決め、それぞれの担当者に具体的なアクションプランを作成してもらい、コミット(遂行を約束)してもらいます。

 活動計画の実行に当たっては、経営資源のムリ、ムラ、ムダの発生を抑えるため、経営資源全体を網羅するフレームワーク「8つの重要領域目標」(編集部注/社会性と顧客創造、マーケティング、イノベーション、人的資源、物的資源、資金、生産性、条件としての利益)を活用します。

 職場・チームのリーダーとして活動計画の実行状況を評価するには、それぞれの活動テーマの担当者の仕事ぶりと結果をモニターする必要があります。モニターの対象は活動テーマごとの進捗、成果物、消費時間、コストなどが含まれます。一般には、担当者からの報告・連絡・相談を基に、実行状況を把握したり、日報や週報として入力されたシステムからデータを収集したりします。定例の会議で知ることもあります。

 大事なことは、活動テーマごとにデータを正しく入手し、それを担当者にも共有することです。実行状況やパフォーマンスは、本人もなんとなく分かっていますので、ただ進捗の遅れをあげつらうのではなく、強みを伸ばすような建設的な評価をすることが大切です。共有しているデータが改善につながります。

フィードバックによって
事業全体と職場・チームを最適化

 メンバーと共有した実行状況のデータは、「事業全体」と「職場・チーム」という2種類の基本計画を定期的に改善するのに活用します。

(1)「事業全体の基本計画」へのフィードバック

 フィードバックの目的は、事業全体の基本計画と職場・チームの基本計画の整合性の確保です。計画段階では気づかなかった、目的・ミッションの温度差、「顧客は誰か」と「顧客にとっての価値は何か」の理解のズレ、活動の優先順位の間違い、組織・チームの成果が事業全体の成果に貢献できていない、などの課題があれば、計画の改定が必要になります。

 特に、「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」「我々の成果は何か」の答えに整合性を欠いた部分が、「事業全体」と「職場・チーム」との間にあると、成果があがらなかったり、生産性や収益性を損なったりすることになりかねませんので、注意が必要です。