例えば、トヨタ自動車の2023年度統合報告書を見ますと、会長と社長のトップメッセージから始まり、創業の精神、豊田綱領・トヨタフィロソフィーなどから成る「価値創造の源流」の部があります。

 具体的には、豊田綱領・トヨタフィロソフィーの中には、「DNA」「MISSION」「VISION」「VALUE」が記述されていますので、ここに書いてあることを、あなたの理解で構いませんので、ドラッカーが示したフレームワークである「事業の定義」と5つの重要な質問「我々の目的・ミッションは何か」「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」「我々の成果は何か」「我々の活動計画は何か」に答えるつもりで、それぞれの問いに沿って書き写すことです。

職場・チームのMSC基本計画作成で
リーダーが押さえるべき3点

 組織の一部分であるあなたが率いる職場・チームは、所属組織の事業全体に何らかの成果をもって貢献することに存在意義があります。だからこそ、事業全体の基本計画をドラッカーのフレームワークで改めて理解することが大切なのです。こうしたプロセスを通じ、自身の職場・チームの基本計画を作成する準備を整えることができます。

 職場・チームのMSC基本計画をつくるに当たってのポイントは3つあります。第1に、所属している事業全体の基本計画に貢献すること。

 第2に、職場やチームのリーダーである自分がたたき台をつくるということです。信頼できる職場・チームメンバーと相談しながら進める方法もありますが、最後に決めるのは職場チームのリーダーである自分ですし、成果に責任を持つのも自分です。

 第3に、たたき台を直属の上司に示し、そのフィードバックを受けて改定することです。場合によっては、基本計画にある「顧客は誰か」「顧客にとっての価値は何か」について、直属の上司でも明確に答えられない場合があります。その場合は、営業部門など関係部署の何人かに聞くのもよいですし、主顧客や支援顧客の責任者クラスに話を聞くことができれば理想的です。こうして、たたき台を何回も改定したうえで「原案」を作成し、職場・チームの他のメンバーの意見を聞いたうえで、MSC基本計画の第1版として完成させます。