
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第10回(2025年4月11日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
「正義は逆転する」…
『あんぱん』の主題が実行された第10回
第1回に登場した『あんぱん』のテーマ「正義は逆転する。じゃあ、決して引っくり返らない正義ってなんだろう。 おなかをすかせて困っている人がいたら、一切れのパンを届けてあげることだ」これが実行された。
母を訪ねて往復○キロメートル、心身共に疲れてしまった嵩(木村優来)に、羽多子(江口のりこ)とのぶ(永瀬ゆずな)はあんぱんと水を差し出した。
そして時は昭和9年。いよいよ本役の今田美桜と北村匠海の登板である。
最後の子ども時代を振り返ろう。
登美子(松嶋菜々子)からハガキをもらい、思慕が募った嵩はハガキの住所を訪ねる。
ところが、登美子の第一声は「何しに来たの」というそっけないものだった。
立派そうな家の前で母子が再会していると、登美子の再婚した夫らしき人物が戻ってくる。その人物に「突然親戚の子が訪ねて来て」とごまかす登美子。なんてひどい言い方。再婚夫も夫で、じゃあ、家に入れてあげなさいとでも言えばいいのに、言わない。なんて冷たい。