労働は神事なのですから、労働は善。逆に、休暇は罪とみなされる。
ほら、当たり前の休暇期間なのに、その後に会社に出てきたとき、「休んでいて、すみません」なんてあいさつすること、あるじゃないですか。これって、日本人の勤勉さの表れであり、日本人特有の同調圧力の産物でもある。全員がずっと、いつまでも、同じ場所で働くことを善とする考えが定着してしまっているせいだと思います。
実は、労働神事説が信じられている日本では、ジョブ型雇用になっている分野でも、同じところで働くことを美徳とする風潮があります。
日本の「皆勤賞」は
欧米ではナンセンス
プロ野球選手の場合、褒められるのはたいてい、1球団で現役引退まで活躍した人。同じ球団一筋20年なんて素晴らしいですね、みたいな。
一方で、FA宣言した選手は金儲けをしているとか、いろんな球団を渡り歩いている選手は信用できないとか、何かと良くないように言われてしまう。プロ野球選手こそ、一般の人にはない技能を球団という企業に提供するため毎年契約更改していますから、ジョブ型雇用の典型のはずですが、同じところで働かないと褒める対象にならない。不思議な話です。
欧米の場合、狩猟文化といわれるわけですが、これは常に場所を変え、標的を変え、パートナーすら場所によって変えることに躊躇がない。
欧米の労働観は伝統的な宗教観にも影響されています。突き詰めて言うと「労働は罪」なんですね。
人間は原罪を持って生まれ、労働という苦しみを味わい、週末の休暇になると苦役から解放される。だから、バケーションはみんなで跳びはねて喜ぶわけです。日々の労働という苦しみを受け入れている対価として、休みは当然だ、と。だから、夏は1ヵ月休みます、って当たり前なんです。
一方の日本では、小学校に「皆勤賞」なんてあった時代もある。これって、多分、ヨーロッパあたりから、「おかしくない?」と思われちゃう。最低限の単位を取ればいいのであって、なんで毎日学校に行っちゃってるわけ、と不思議がられてしまう。