会社員の副業緩和で
企業ともwin―winの関係に
日本と欧米の違いのもう1つは、「そろそろ潮時かな」と感じる年齢の違いにあります。
日本ではセカンドキャリアというと定年後、つまり60歳以降の再雇用を指すことが多いので、その直前にあたる55歳ごろに慌てて将来の身の振り方を考え始める。
それに対してアメリカ人なんかは、40歳が人生の折り返し点と考える傾向がある。Over the Hillと言って40歳以降は下り坂、つまり若いころとは違うキャリア設計が必要と考えるきっかけ作りができる。
ロシア人に至っては、早婚傾向ということもあり20代前半で結婚、30代後半には子育てを終え、40代後半は孫がいる人が珍しくないです。セカンドキャリアを考えるタイミングはもっと早いと思います。
私は宇宙飛行士のとき、アメリカ人とロシア人のキャリアパスを見ていました。ですから、比較的早い時期から「下り坂」に入る準備はできていたのかもしれません。
私は、JAXAで副業はさほどしていませんでした。東京大学の非常勤講師とか、著作物の印税収入程度でしょうか。収入が無いボランティア的な名誉職を別にすれば、副業はそれほど多くなかったんです。
私がJAXAに籍を置いていた時代は、まだ正社員が社外で副業することへの風当たりが強く、基本的に副業を認められませんでした。
ですから、いちいち申請書を丁寧に書き上げて、中間管理職から決裁印をいっぱいもらって、本業に影響しないことを条件にして、組織のトップである理事長から決裁印をもらってからじゃないと、副業・兼業は許可してもらえなかったのです。
今の時代、企業の間では、副業がかなり緩和されてきましたね。本業では得られない業務経験によって得たものを本業に生かせるようになって、win―winの関係になりつつあります。
言ってみれば、本業と副業の関係は二毛作じゃないでしょうか。