会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。

「仕事ができないメンバー」優秀なリーダーはどう接する?Photo: Adobe Stock

「仕事ができないメンバー」できるリーダーはどう接する?

かつて、ぼくは「できない部下」に悩んでいました。

指示したことができない、同じミスを繰り返す、期待したレベルに届かない。もしかしたら、みなさんの周りにもそんな「できないメンバー」がいるかもしれません。

ただし、「できないメンバー」との関わりがうまくいかないのは、あなたの接し方に課題があるからかもしれません。

「あなたが悪い」のではありません。期待した成果を引き出せていないなら、別の指導・別の伝え方・別の教え方をしなければいけないはずです。

それをしていないという意味で「あなたに課題があるかもしれない」です。

「できない」のではなく、単に「練習が足りない」だけ

自分でいうのもなんですが、ぼくは社会人1年目のとき、ものすごく仕事ができない人間でした。謙遜で言っているのではなく、実際に仕事ができなかったんです。

同じミスを何でも繰り返し、毎日上司に怒鳴られていました。その状況を見て先輩からつけられたあだ名が「怒られ侍」でした(本当の話です)。

上司から強烈なプレッシャーを受け、落ち着いて仕事ができなくなり、さらにミスを繰り返すという毎日でした。

ただ、ここでお伝えしたいのは上司のパワハラ的指導が問題だったということではありません。

問題があったのは、「ぼくが圧倒的に練習不足だった」ということです。

なんでもそうですが、言われたことをすぐにできないケースがあります。勉強でもスポーツでも、やり方を教わってすぐにできるわけではありません。練習が必要です。練習することで徐々にできるようになっていくわけです。

勉強でも本番試験の前に必ずドリルや練習問題で慣れていきます。野球では素振りをします。それをするから、本番である程度、力を発揮できるんです。

しかし、仕事ではほとんど練習が認められていませんね。「新入社員だからまだできなくて仕方がない」と多めに見てもらえることはあります。

しかし、だとしてもいきなり本番環境でトライしますよね。本当の意味での練習がないんです。

営業メンバーは、上司や先輩社員を顧客に見立ててロールプレイで練習をすることがあります。それと同じような練習を積むことが必要です。