
高齢者の就業率が上昇する中、彼らは収入以外の理由でも働き続けている。90歳の現役医師は週4日高齢者施設で診察し、老体に鞭打って社会活動に励む。それはなぜか。※本稿は、折茂肇『90歳現役医師が実践する ほったらかし快老術』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
病でも人生を諦めなかった
ある建築家の“老いを跳ね返す力”
昔と比べて若返っているとはいえ、高齢になると、体にも心にもさまざまな変化が起こる。高齢者の特徴的な変化の例を、いくつか挙げてみる。
・体内の臓器や体のさまざまな機能が衰える
・体内の環境を一定に保つ働きのバランスが崩れやすくなる
・1人でいくつもの病気を持つようになる
・若いときとは異なる症状が現れることがある
・病気が治りにくい
・認知機能が低下する
これらは、高齢になれば誰にでも起こり得る、ある意味自然な変化といえるが、そのさまざまな変化によって、考え方や感情などに影響が及ぶこともある。
健康状態の悪化や人間関係の変化、生活目標の喪失、自身の身体的な状態や将来への不安などのせいで、うつ状態になったり、体の調子が悪くなったりする人もいる。
長生きをするということは、それだけで大きな努力を必要とする。このように述べると、希望も何もない暗い気持ちになってしまうが、一方で、高齢になるほど個人差も大きくなるといわれている。それは身体的な機能の衰え方や病気の進み方などだけでなく、人格や性格、考え方も同じで、人生観や人生哲学といったものは人それぞれで大きく異なるのだ。