脳のトレーニングとしてもよく出てくる「天秤問題」です。
 海外では「Balance Puzzle」「Counterfeit Coin Puzzle」と呼ばれる、論理的思考問題の王道ジャンル。
 これは、その初級編です。

「天秤問題」の基本戦略

 このタイプの問題の基本となるのが、

「天秤を1回使えば3グループの詳細がわかる」

 という考え方。
いや、天秤は2つのものの重さを比べるものなのでは?」
 
と思うかもしれませんが、例を挙げて考えてみましょう。

「3枚のうち1枚だけ軽い金貨を、天秤を1回使って見抜け」

 この場合、3枚のうち2枚を、それぞれ天秤の左右に載せて量ります。
 天秤が傾いた場合は、左右どちらかの金貨が軽いということ。

 では、天秤が釣り合ったら?
 天秤に載せなかった金貨が「軽い金貨」という事実を表します。

 つまり天秤は使い方によって、

「天秤に載せなかったものの正体」もわかるのです。

2回の計量で「9分の1」を見抜く方法

 今回の問題は、天秤の基本戦略を2回繰り返すだけです。

 まず1回目の計量では、9枚の金貨を3枚ずつ3つのグループに分け、そのうち2つのグループを天秤で計量します。
 これで「どのグループに軽い金貨が含まれているか」がわかります。
 天秤が傾けば、皿が上がった方のグループに「軽い金貨」が。
 釣り合えば、天秤に載せなかったグループに「軽い金貨」があります。

 そして2回目の計量では、軽い金貨が含まれているグループの3枚のうち、2枚を天秤の左右に載せます。
 これにより「どの金貨が軽いのか」を特定します。
 天秤がどちらかに傾けば、皿が上がった方の金貨が「軽い金貨」。
 天秤が釣り合えば、天秤に載せなかった金貨が「軽い金貨」です。

 <正解>
 金貨を3枚ずつのグループ(A,B,C)に分け、グループAとBを天秤に載せる。

 どちらかに傾けば皿が上がった方のグループに、釣り合えばグループCに「軽い金貨」はある。
「軽い金貨」があるグループの金貨3枚のうち、どれか2枚を天秤に載せる。
 どちらかに傾けば皿が上がった方の金貨が、天秤が釣り合えば残りの1枚の金貨が「軽い金貨」である。

「思考」のまとめ

「天秤なんて、実社会で使わないよ」という気持ちはわかります。
 私も使ったことなんて一度もありません。
 ただ、「確認していないことに、目を向ける」という視点の転換はさまざまな場面で役立つ思考法なので、覚えておいて損はないと思います。

・確認したことだけでなく、「確認しなかったこと」に目を向けることで、わかってくることがある

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。書籍ではこのような「考える力を磨くトレーニング」を67問紹介しています。)