アルムナイは、人的資本・社会関係資本の一部

 私たちは、この企業に対し、アルムナイ専門サービス「オフィシャル・アルムナイ(*)」の導入に先立ち、アルムナイと現社員のニーズを把握するための調査を提案し、実施しました。アンケートとヒアリングを通じて明らかになった声には、こんなものがありました。

* 「オフィシャル・アルムナイ」では、企業とアルムナイ(退職者)、アルムナイ同士などのコミュニティの構築と運営を、クラウドシステムとコンサルティングで支援している。

アルムナイの声「退職して、改めて会社の良さに気づいた」「いますぐに戻る気はないが、将来の選択肢としてはある」「A社から何か求められたら協力はしたい」「キャリアの参考として、他のアルムナイの現在地が知りたい」

社員の声「協業先や営業先になり得る企業に転職したアルムナイもいそうだが、連絡先を知らない」「給与が理由で辞めた人に、『戻ってきて』とは言いづらい」「仲の良い元同僚には、タレントプール登録の案内はしにくい」

 つまり、再雇用だけを目的にアルムナイと接点を持とうとすると、関係構築に失敗しやすいのです。

 調査後、協力してくれたアルムナイを招いての対面イベントも提案し、当社のイベントスペースで開催しました。経営陣や人事部長も参加し、アルムナイ自身の口から「ただの再雇用候補ではない」価値を伝えていただきました。

 イベントは盛り上がりましたが、15名(=参加者であるアルムナイ)の多くは、タレントプールに登録しておらず、この日も登録には難色を示していました。会の途中で、当社が提供するコミュニティアプリ「オフィシャル・アルムナイ」のデモ画面に触れていただき、名簿機能やコンテンツ作成支援サービスによって、他のアルムナイや社員の活躍、会社の近況が知れることや、当社がコネクターとなって、コミュニティアプリ上やイベントでアルムナイ同士や社員とアルムナイをつなぐことなどをお伝えしたところ、参加者全員が「タレントプールではなく、コミュニティとしてなら登録したい」と前向きな意向を示してくれ、後日、本サービスを導入した際には、15名全員が最初の登録者となりました。