また、誰もが運転できるためには、多くのクルマが同じ方法で運転できるよう機械装置や運転方法が標準化されているとよさそうです。あわせて、免許制度や運転免許教習所の整備なども必要です。
こうした整備は、デモクラタイゼーション、つまり民主化に寄与するだろうと解釈できます。近年の運転アシスト機能も、この領域の進化だといえるでしょう。
加えて、とても大事なことに「みんながクルマに乗る目的」が必要でした。ひょっとすると、現代のクルマ離れの主要な理由は、この「クルマに乗る目的の喪失」なのかもしれません。
モータリゼーションが始まった頃には、海水浴や遊園地といった行楽地へ、家族でクルマで出かけることそのものが、主要な娯楽でした。また、仕事仲間や取引先とゴルフや釣りといった時間のかかる(つまり長時間の会話を促す)活動に出かけるのも、ビジネスと社交における重要な習慣でした。いずれも、クルマに乗る動機を提供したと考えられます。
デジタルトランスフォーメーションが社会に浸透していくためには、モータリゼーションと同様の3要素が必要なのかもしれません。
それは、
1.デジタル化に必要な通信可能地域や速度・料金設定といったインフラ
2.誰もが使いやすいインターフェイスや信頼性
3.目的や動機による必然性
です。
ここで、モビルスーツ部隊に加えて、モビルアーマーの精力的な活用を期待する場合を考えてみましょう。モビルスーツに比べ大型で、構造も大きく異なるモビルアーマーを運用できる整備環境があり、パイロットや固有のドクトリン(戦闘教義)などが用意されている必要がありそうです。

音部大輔、田中準也、豊後祐紀著
また、各兵科の連携が部隊運用の基本であると考えれば、モビルアーマーを実際に運用する部隊だけでなく、関連兵科の諸部隊がモビルアーマーとの連携方法を知っている必要もあります。加えて、明確で固有の目的・動機が必要です。
高機動型のモビルスーツ部隊だけでは対処しきれない動機があるはずです。高火力、重装甲などはその一例かもしれません。代わりに大きなコストの負担を強いられる可能性が高そうですから、その負担に足る効用を期待するべきでしょう。
モビルアーマーと同様に「MA」と略されるマーケティングオートメーションも、マーケティングのデジタルトランスフォーメーションのひとつとして議論されることがあります。
モビルアーマーの運用と同様に、インフラとデモクラタイゼーションに加えて「マーケティングオートメーションを導入する理由や動機」を明らかにすることが、成功のための大事な要素かもしれません。