大雲海写真はイメージです Photo:PIXTA

日本における地方の観光名所は、朝9時から夕方5時くらいまでしか開いておらず、周辺の飲食店も早く閉まる傾向がある。そのためせっかく日本に遊びに来ているインバウンド客はホテルに缶詰状態にされ、夜間や早朝の時間を持て余してしまっていた。昨今、この「アイドルタイム」を活用して趣向を凝らしたツアーを組み、大成功している例が日本各地でいくつも生まれているという。※本稿は、永谷亜矢子『観光“未”立国~ニッポンの現状~』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

文化施設の遊休時間
どう有効利用する?

 観光旅行といえば、昼間帯に名所をものすごい勢いで巡り、夕方に宿に着いてディナーを取り、その後は就寝。そんなサイクルが“当たり前”と思われがちです。

 しかし、それではお客さんがお金を落とす時間や機会は限られてしまいます。実際にインバウンド客からは「日本の飲食店やアクティビティは閉業時間が早く、夜間にやることがない」というナイトタイムへの満足度の低さを示すデータもあります。

 ここでは、美術館や神社仏閣といった文化施設の遊休時間(アイドルタイム)を活用して、観光コンテンツに落とし込む方法について、紹介したいと思います。

観光客のお金が落ちない
「9時16時問題」

 神社仏閣はおおむね午前9時に開館し、午後4時から5時あたりをめどに閉館します。観光客は、限られたこの時間帯に殺到し、夕方には各々の宿泊先へと散っていきます。せっかくの人気スポットでも1日のうち、16~17時間は閉じているということ。

 つまり、お金が落ちる時間が少ないのです。

 そして、宿に到着して腰を下ろすと午後6時ごろからディナービュッフェの時間となり、午後8時には終了します。そのあとは、部屋でくつろぐぐらいしかすることがありません。