気が付けば未来はすぐそこにある
長々と書いてきましたが、科学者が歴史を研究する時、極めて魅力的な考え方である「特別な個人」「特別な一粒の砂」という概念を否定する研究が存在すること、集団や社会環境が「臨界状態」を迎えているのなら、逆に変化を起こすヒーローは自然発生的に生まれやすくなるのではと考えることができます。
数年前に同じ行動をしても、周囲も組織もまったく動かなかったが、2013年には誰もがその変化に賛同してあっという間に動いてくれる。これが「臨界状態」の効果です。
私たちはビジネスや企業変革をするとき、特別な才能を持った誰かを探すのではなく、組織全体を「臨界状態」にできるようなリーダーを選ぶべきなのかもしれません。
幕末明治期の日本人は、必死の努力をしながらも社会全体が「臨界状態」になった後押しで、さまざまな偉業を成し遂げられたのではないでしょうか。そこには特別な個人と同程度、それ以上に日本全体が「変わりたい」という想いに包まれた熱気があったのでしょう。
もし2013年の日本という国が、正しい意味で「変わりたい」という想いに包まれているならば、大変苦しい思いをしながらも、未来は意外にすぐそこにあるのかもしれません。明治維新のわずか5年後、1872年に廃藩置県が行われて、福沢諭吉を含めた多くの洋学者が、感慨深く時代の転換点を目撃したようにです。
次回は5月28日更新予定です。
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