好きなのに告白をしないままでいると確率はほぼ0%なのに対して、ダメ元でも自分からアタックした場合は半数の人が50%以上の成功率なのです。

 告白することの成功率はかなり高いにもかかわらず、約4割は一度もしたことがないのは、なぜでしょうか。

 ここに「合理的な判断ができない」という、人間の特性が出ています。

やらずに後悔するより
やって後悔したほうがいい

 私たちは、何かの決断や選択をするとき、いろいろな感情や思い込みが合理的な判断を押し退けてしまい、行動を誤ってしまうことがあります(これこそが行動経済学の本質ですね)。

 告白して、もし失敗してしまったら……。心が傷つく、恥ずかしい、相手との関係が悪化してしまうかもしれない。そんな「やらなきゃ良かった」という後悔のリスクを負うくらいなら、何もしないほうがいいと考えてしまうのです。

 この現象を、行動経済学では「後悔の回避」と呼んでいます。やりたいことがあるのに、なかなかできずにいる人には、この心理が働いているかもしれません。

 これと似た心理的バイアスに「損失回避」があります。これは、人が損に対して強く反応し、避けようとする傾向です。

 ただし、後悔による精神的なダメージは、損失の場合よりも大きくなります。なぜなら後悔の場合、そこに至る経緯の中で自分自身が判断や決定をしているためです。単に何かを失ったのとは違い、自分に責任があることが明確なのでショックが大きくなるのです。

 後悔には「行為後悔(やらなきゃ良かった)」と「非行為後悔(やれば良かった)」の2種類があります。

 出来事の直後は「行為後悔」のほうがショックが大きいです。一方の「非行為後悔」は直後の精神的ダメージは小さいものの、時間が経っても薄れずに長く残りがちです。

 例えば、告白して失敗した場合、「やらなきゃ良かった」と思うかもしれませんが、時間が経つと徐々に忘れてしまいます。なぜフラれたのか考えて、反省や改善をすることもできます。