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部下との人事面談に臨む管理職にとって、自信過剰な相手は厄介ものだ。「あなたは、アナタが思っているほどには仕事をできていませんよ」と言っても伝わらないとき、どう対処したらいいのだろうか。※本稿は、橋本之克『世界は行動経済学でできている』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。

自信のある人ほど
詐欺師にカモられやすい

「まさか私が引っかかるはずがない」

「自分は大丈夫」

 これは、詐欺被害にあった人がよく口にするフレーズだそうです。

 みなさんも聞いたことがあるかもしれませんが、詐欺師に一番引っかかりやすいのは、「自分に自信がある人」です。

 災害や事件、事故が起きたときなども、「こんなことが起きるなんて怖いね」などと言いながら、なぜか自分がその当事者になる可能性については考えません。「自分はそんな目にはあわないだろう」「自分には関係ない」と思い込んでしまうのです。

 こうしたときは、自分の立ち位置を正しく認識できず、「自分から見えている自分」と「他人から見えている自分」にズレが生まれています。自分では「それなりに賢いし他人の甘い言葉には耳を貸さないぞ」と思っていても、詐欺師からすると「チョロいカモだな」と思われていたりするわけです。

 このようなときには「自分に対する認知のあり方」に関係する、「ダニング=クルーガー効果」が影響しているかもしれません。

ものを知らない人ほど
自己評価が高くなる

「ダニング=クルーガー効果」とは、能力や知識が低い人ほど、自分の能力不足や他者のレベルの高さに気づかず(気づけず)、自分自身を高く評価してしまう傾向のことです。