
東京ディズニーリゾートでは、従業員のすべてが「キャスト」と呼ばれる。マクドナルドでは「クルー」、スターバックスでは「パートナー」だ。ただの意識高い系のカッコつけではない、この「ラベル」に込められた意味とは?※本稿は、橋本之克『世界は行動経済学でできている』(アスコム)の一部を抜粋・編集したものです。
良かれと思った上司に
苦しめられてしまう部下
友人の職場に、おとなしい性格の部下がいたそうです。
会議などでも控えめな態度だったため、取引先へのプレゼンなどを任せるよりも、分析作業などのデスクワークでの成果を評価したり、「リサーチの天才だね!」と褒めたりしていました。
友人としては、適性を見極めて判断をしていたつもりだったのですが、ある日その部下から、「別の部署への異動か、それが無理なら退職したい」という相談があったのだそうです。
驚いてその理由を聞いてみると、本人が望む取引先へのプレゼンなどの機会が回ってこず、かといってデスクワークにもやりがいが感じられないとのこと。
友人は、この部下の良い面を引き出しているつもりでしたが、その見方が一方的であったため、本人の気持ちや志向とはズレていました。良かれと思っての評価であっても、それがむしろ押しつけとなってしまっていたわけです。
このように「思い込み」で人のタイプを決めつけてしまう誤りは、しばしば起こります。
人や特定の物事に対して、ラベル(いわゆるレッテル)を貼ることで、対象についての評価や選択に影響を与える心理効果を「ラベリング効果」と呼びます。
例えば、「女の子なんだから、おとなしくしなさい」「男の子なんだから、活発に遊びなさい」などと言い続けることが、その子の性格や態度に影響する、といったことですね。