世界中の起業環境を調査している『Global Entrepreneurship Monitor』2023/2024年版によれば、イスラエルは日本と同じく主要先進国の中で「起業しやすい環境」のスコアで最下位付近に位置します。

 この調査によれば、アメリカ4.8、スイス5.5、イギリス4.6、韓国5.8、ドイツ4.8、フランス5.0に対して、イスラエルは4.1です。過去には日本とイスラエルは最下位タイでしたが、今では日本のスコアは4.4に大幅改善しています。

 日本とイスラエルはどちらも起業しにくい国。でも、結果はイスラエルが世界一、日本はボロ負け。これはどういうことでしょうか。先ほどの『Global Entrepreneurship Monitor』にはこの謎を解くヒントが隠れています。

100年後、日本が貧乏国家に!?「ユニコーン企業数」でイスラエルにボロ負けする残念な理由同書より転載

 この調査は、起業資金を得やすいか、政府の支援はあるか、学校で起業家教育をしているか…といった項目についてアンケートをおこなっているものです。ですから、これらのアンケート項目のうちどこかが低かったり高かったりすることで全体が影響を受けてしまいます。

人生も趣味も“経営”
イスラエルの子育ての特徴

 日本とイスラエルのそれぞれについて、細かいデータを確かめてみましょう。

100年後、日本が貧乏国家に!?「ユニコーン企業数」でイスラエルにボロ負けする残念な理由同書より転載

 まず、日本は意外と悪くないということが分かります。金融も政府も他の国と同じくらいには頑張っています。しかし、平均値から大幅にへこんでいるものもあります。社会的・文化的規範です。

 この図からは、日本とイスラエルの顕著な違いも分かります。イスラエルは起業する環境は「1つをのぞいて」最悪に近いです。多くの項目が平均値を大幅に下回ります。しかし、日本とは好対照に社会的・文化的規範は飛び抜けています。

 調査年度に関係なく、この社会的・文化的規範はイスラエルが常に世界一レベルです。直近では日本が3.2に対してイスラエルは7.7です。参考として、経済大国アメリカは6.7、中国は6.2にとどまります。