「働き方の原点」は?

 学生時代のアルバイト経験を聞くと、相手の職業観が垣間見えることがあります。

 僕でいうと、学生時代はスポーツジムのプールでアルバイトをしていました。時給は低かったのですが、同じような仲間がいっぱいいて、帰りにファミレスでご飯を食べて帰るのが大好きだったんです。

「時給は低かったけれど、仲間と過ごす時間が楽しくて、スポーツジムでアルバイトをしていました」といったエピソードからは、仲間やチームワークを重視する価値観がイメージされるかもしれません。

「家庭教師をしていました」という経験を深堀すると、「時給が高くて、タイパがいいから選びました」という答えが返ってきたとします。アルバイトとはいえ、その人の職業観が伝わってきますよね。

 学生時代のアルバイトのエピソードには、その人がどんな環境にやりがいを感じるのか、どのような言葉に敏感なのかといった“働き方の原点”がにじみ出ます。

 新卒社員が社会人としてどんな土台を持っているのかを理解する上で、貴重なヒントになるはずです。

(本記事は、『増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』に関連した書下ろし記事です)

本間浩輔(ほんま・こうすけ)
・パーソル総合研究所取締役会長
・朝日新聞社取締役(社外)
・環太平洋大学教授 ほか
1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。2000年スポーツナビの創業に参画。同社がヤフーに傘下入りしたあと、人事担当執行役員、取締役常務執行役員(コーポレート管掌)、Zホールディングス執行役員、Zホールディングスシニアアドバイザーを経て、2024年4月に独立。企業の人材育成や1on1の導入指導に携わる。立教大学大学院経営学専攻リーダーシップ開発コース客員教授、公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル代表理事。神戸大学MBA、筑波大学大学院教育学専修(カウンセリング専攻)、同大学院体育学研究科(体育方法学)修了。著書に『1on1ミーティング 「対話の質」が組織の強さを決める』(吉澤幸太氏との共著、ダイヤモンド社)、『会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング』(中原淳・立教大学教授との共著、光文社新書)、『残業の9割はいらない ヤフーが実践する幸せな働き方』(光文社新書)がある。