「おばあちゃんの知恵袋」と呼ばれるような、家庭や地域に伝わる昔ながらの知恵。なかでも、身近な食材や植物を使って体のちょっとした不調を回復へと導く“自然のくすり”は、様々な体調不良に悩まされがちな現代こそ、日常的に取り入れたいものばかりです。書籍『昔の知恵からはじめる 回復のためのレシピ』は、そんな“自然のくすり”を約110種収録しています。そのなかから、幅広い効能を持つと伝えられてきた「梅」を使ったものを、著者の山田奈美さんに教えてもらいます。(撮影:中村寛史、栄養監修:管理栄養士 星穂奈美)

自分や家族を大切に思う気持ちと向き合う
私は長いあいだ薬膳を学んできたのですが、その経験からも、食べ物や植物一つ一つに計り知れない力があることを実感しています。
体を冷やしたり温めたり、余分な水を体外に出してくれたり、気持ちをスーッと軽やかにしてくれたり。体に入って何の作用も及ぼさないものはありません。昔は一般の家庭の人たちもそうしたことを生きる知恵として知っていたのだと思います。
私も、自分自身や家族の体にちょっとした不調を感じたとき、「まずは自分でできることをやってみよう」と、昔ながらの知恵を実践しています。
「梅肉エキス」

青梅をすりおろして濾し、煮詰めて作る梅肉エキス。昔からお腹の痛いとき、下痢のとき、風邪気味のときなどに効果があるとして、幅広く家庭で利用されてきました。どんなに作るのがたいへんでも、我が家も欠かしたことがありません。
「梅酢」

梅干しを仕込むとその“副産物”としてできるのが梅酢です。体調不良の改善に、古くから重宝されてきました。特に二日酔いや下痢、夏バテなどで食事がのどを通らないとき、梅酢なら取り入れやすいでしょう。
「焼き梅干し茶」

“医者いらず”と呼ばれる梅干しを、昔の人たちは黒くなるまで焼くことで更に効能が高まると考え、利用していたそうです。現代では、梅干しを加熱するとムメフラールという成分が生成されることがわかり、血流改善や代謝アップに効果があるとされています。
書籍『昔の知恵からはじめる 回復のためのレシピ』には、梅を使ったものをはじめ、昔ながらの知恵を多く収録しています。現代の私たちが取り入れやすいよう、食材の組み合わせのアレンジや新しいレシピの提案もしていますので、体に不調を感じたときぜひ試してみてください。
(本稿は書籍『昔の知恵からはじめる 回復のためのレシピ』の一部抜粋・編集したものです)