ニュースな本写真はイメージです Photo:PIXTA

「いくら抱いても、いくら甘やかしてもいい」「子育ては過保護でいいのです」――長年読み継がれている育児書のロングセラー『子育てのきほん』が新装版で登場。2017に亡くなるまで、児童精神科医として50年活躍した佐々木正美が提案する、圧倒的にシンプルかつ“限りなくやさしい子育ての心構え”とは。※本稿は、佐々木正美『子育てのきほん』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。

喜びや悲しみを分かち合えない
ことほど苦しいことはない

人と上手に
交われないことほど
大きなストレスは
ありません

 いまの時代、たくさんの人々がストレスに苦しみながら生きています。

 ストレスといってもいろいろな原因がありますけれど、すべての世代でもっとも多いのが「人間関係」によるストレスです。

「人間関係のストレス」といったら、ひと昔前は「大人だけのもの」と思われていました。けれど、いま人間関係がうまくいかないことで強いストレスを感じ、普通の生活が送れなくなったり、精神的な病気になってしまったりするケースは、子どもたちにも非常に多いのです。

 日本には、「引きこもり」の状態にある人が100万人ほどいるといわれています。これは政府の公式見解で、実際にはもっともっと多いでしょう。

 この数字がいまの日本を象徴しています。

 なんと悲しいことでしょうか。

 これほど多くの人が、人と、社会とうまく関わることができずに、部屋のなかに1人でじっとうずくまり、悲しんでいる。

 誰かと喜びや悲しみを分かち合うこともない。これほど寂しく苦しいことがあるでしょうか。