最近の若者は叱られ慣れておらず、すぐに傷つき、すぐに挫折し、しかもそれを他人のせいにしてしまう傾向があると、昭和世代が嘆いているが、それは、昭和の時代の根性なしの典型のような存在であった私でさえも大いに納得する。

 仕事ができない部下は間違いなくいる。いかにできないかわかってもらう必要がある。そのうえで態度を改めさせる必要がある。腰が引けた形で注意できないでいると、いつまでも本人は自分の未熟を理解せず、成長しない。

 だが、強い言葉で注意すると、反感を持ち、パワハラだと訴えてしまう。そうであるからには、柔らかい言葉ではっきりと相手に注意する必要がある。

 その場合、うまい言い換え表現がいくつかある。

どう言い換えれば
パワハラにならないか

 第一の表現は、具体的な改善策のヒントを示すことだ。「次回はこの点に気をつけて実行してほしい」といった表現を用いる。場合によっては、ある人物に相談する、ある本を読んでみる、あるサイトをのぞいてみるといったアドバイスでもいい。改善のためのめどができれば、多少厳しく叱っても、納得できる。

 ただし、達するべき内容を示しておいて、次回はそれに達しなければ、期待に添わないこと、自己責任で失敗を認めざるを得ないことを示しておいて、言質を取っておくのが望ましい。

 第二の方法として、本人の生来の能力を批判するのでなく、あくまでもそれまでの仕事内容の不備を指摘することだ。「おまえはバカだ」「こんな簡単な仕事もできないのか」とは言わない。「今回の仕事は明らかな失敗だった」という表現を用いる。

 その際も、「バカだから何が大事かの判別ができない」などと批判せずに、「考えすぎて大事なところがおろそかになってしまったのだろうが」「前の失敗が頭にあったので、余計なことを考えてしまったのかもしれないけれど」というように、何かしらの事情があったに違いないことを示す。そうして、逃げ道を用意しておく。