第三の方法は、別のことのほうが向いていることを示すものだ。「おまえはこの能力がない」というのではなく、「せっかくの君の能力をここでは活かせないよ。ほかの仕事のほうが向いているのではないか」と言う。

 ただし、もちろん「君は頭を使わない仕事のほうが向いているよ」「バカでもできる仕事がぴったりだ」などと言ってはならない。むしろ、今の仕事よりも魅力的と思われる仕事を示す形が望ましい。

「君は営業よりも、企画のほうが向いているかもしれないよ。その方向で人生を考え直すほうがいいよ」

「君はうちの会社よりも、どしどし自分で仕事のできる会社のほうが向いているかもしれないよ」

 という表現をする。そのうえで、「今の仕事を続けるのだったら、注意する必要がある」と付け加える。そうすれば、自尊心を傷つけずにすむ。

つい使ってしまうキツい言い方は
こう言い換える!

(1)先日のプレゼン資料はまったく説得力がないので、全面的にやり直しなさい。

→先日のプレゼン資料はまったく説得力がなかった。経験不足だったので仕方がないが、最初に、企画の理念を示していないので、全体が曖昧になっていた。それを示して、順を追って実現する方法を示すように、全面的に改めなさい。

(2)毎回毎回同じミスを繰り返して、おまえ、どうなってるんだ。頭が悪いか、病んでいるか、どちらかだろう。

→毎回同じミスが目立ちますよ。疲れているのではありませんか。休養が必要かもしれないので、相談室に相談してみませんか。

(3)君は周囲の迷惑を考えないで自己主張ばかりするので、ほかのメンバーが困っている。さっさとこの仕事から降りてしまえ。

→今回の仕事での君の考えを評価する人も多いのだが、ほかの人と方向が合わないようで、このままではうまくいかないことが心配されている。君の力は別のところで発揮してもらう機会を作りたいので、今回の仕事はひとまず降りていただけないか。