土下座するビジネスパーソン写真はイメージです Photo:PIXTA

会社にとってハラスメント対策は必須だ。しかし、上司が部下に対し、業務に関する注意や助言をしただけで「パワハラだ!」と過剰反応されるケースも増えている。なかには、意図的に上司を貶めるために告発する部下も存在するという。そんな「モンスター部下」にパワハラととらえられない適切な指導とは?弁護士として中小企業から大企業までの幅広い法律問題に接してきた國安耕太氏が、事例を踏まえて解説する。※本稿は、國安耕太氏『上司いじめ――企業法務弁護士が教える上司のためのハラスメント対応法』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「そんな言い方はパワハラじゃないですか!」
指導した部下から反撃された事例

「そんな言い方はパワハラじゃないですか!謝ってください」

 部下に少し強い口調で注意・指導をしたとき、こんなふうに反撃されることはありませんか。

 このようなときは、カッとせず、いったん自分の言動を振り返ってみましょう。

 まずは、あなたが行った注意・指導の内容が「業務上必要であった」かどうかを冷静に判断しましょう(【図1-1】)

図1-1:パワハラの定義同書より転載 拡大画像表示

 なぜならば、このようなときに会社が最も重視するのは、パワハラに当たる言動があったかどうかよりも、指導として適切だったのか不適切だったのかということだからです。

 さて、いかがでしょうか?加えて、次のような言動を伴わなかったかどうかを思い出してください(※以下、紹介する各事例については、「業務上必要であった」ことを前提とします)。

●大声で罵倒する、机を強く叩くなどの威嚇的な行為を伴う

●大勢の前で注意・叱責する

●不適切な言葉、表現を使う
――身体的に危険を感じさせるような発言
――地位を利用して雇用を脅かすような発言
――人格を傷つけるような発言

 これらは適正な範囲を超えて相手を追い詰める、パワハラととられて仕方がない言動です。言葉遣いは習慣ですから、もしこれに当てはまるようならば、二度と繰り返さないよう、慎重に行動しましょう。