「気持ちは届いてる?」蘭子(河合優実)×豪(細田佳央太)“恋未満”の名演が朝から切ない【あんぱん第23回レビュー】『あんぱん』第23回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第23回(2025年4月30日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

結婚したら玉の輿
どうする蘭子!? 

 急展開。

「蘭子さんを嫁にください!」

 ある朝、岩男(濱尾ノリタカ)が紋付き袴で求婚しにやって来た。

 祭りの日に蘭子(河合優実)を見初めたというのだ。

 第22回にも登場しているとはいえ、岩男って何者? 

 岩男は材木業で財を成している家の息子だった。つまり蘭子は玉の輿。結婚したら運転手付きの自動車で郵便局に通ってもいいと岩男は言う。

 でもパン食い競走をやった祭りの日も第22回でも蘭子は岩男にまったく興味がない。どういう人物かよくわかっていないからであろう。

 岩男が釜次(吉田鋼太郎)に挨拶している途中で蘭子はさっさと郵便局に出勤していく。

 いつものようにクールに見えたが、内心はバクバクしていたようだ。でもそれは求婚にときめいたわけでは決してない。ほかに気になる人がいるからだ。

 にわかに訪れた結婚話によって、ほのかに気にしていた人がよけいに気になっていく。

 その相手とは……