ディズニーランド、ホス狂、ニセコ…愛と熱狂を生み出す「嘘のつくり方」写真はイメージです Photo:PIXTA

顧客を外国人富裕層に絞ったことで「テーマパーク化」が進んだニセコのように、我々の消費生活においても「ニセコ化」は浸透してきていると都市ジャーナリストの谷頭氏は言う。「推し活」や「ホス狂」のような「集中型消費」を基本とする趣味が広がるなか、消費の「ニセコ化」が生み出すメリット、デメリットを解説する。※本稿は、谷頭和希『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。

推しに全力投資する
「集中型消費」の時代へ

 我々の消費生活においても「ニセコ化」(編集部注/特定の地域や都市が「選択と集中」の戦略により、まるでテーマパークのように変貌する現象)は進んでいる。

 例えば、電通が行った消費に関する調査を見てみよう。電通では我々の消費生活の姿をいくつかの項目に分けて年ごとに紹介しているのだが、このリストに近年加わった消費の形態が「資本集中型消費」である。これは、読んで字のごとく、自分がハマっている1つのコトやモノに、集中的にお金を費やすことだ。

 こうした背景には、(物価高とはいえ)チェーンストアの普及によって、生活必需品を安価で済ますことができるようになったことがあるだろう。

 例えば、食べるものや着るものについては、ある程度は高品質なものが、それなりの値段で手に入るようになった。着るものはユニクロ、食べものはチェーンレストラン。それよりも自分がもっと深くコミットしたい「推し」にお金を使う。こうした消費形態は一般的になっているだろう。