「許さなくていい」でも「全部否定もしなくていい」――“黒歴史”を力に変える考え方
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【精神科医が教える】「嫌いな人との関係にも良いところがある」と断言する理由Photo: Adobe Stock

嫌な人間関係の中にも実は良いところがある

今日は、「嫌な人間関係の中にも、実は良いところがある」というお話をしたいと思います。

もちろん、嫌な人間関係を無理に続ける必要はまったくありません。関わることでストレスが増すだけなら、距離を取ることはとても大切です。

嫌だと思う時間もエネルギーも、私たちにとってはもったいないものだからです。

関係を断っても、記憶は残る

ただし、関係を断ったからといって、その人のことを思い出すたびに嫌な気分になることもあるでしょう。

関わりをやめたのに、記憶の中でずっとモヤモヤが続いてしまう――そんな方も少なくないと思います。

すべてを「悪」と決めつけなくていい

でも、嫌な人間関係のすべてが「悪」だったかというと、必ずしもそうではないはずです。

本当に何も良いところがなければ、そもそも最初から関わることもなかったでしょう。

「許さなくていい」けど、「全部否定」もしなくていい

大切なのは、その人を無理に許す必要はないということです。

関わるべきではなかったと気づいたなら、距離を取っていいと思います。でも、「その関係のすべて」を否定する必要まではないのではないでしょうか。

嫌な人の言葉の中にも、学びになることや、心に残る一言があるかもしれません。それを「嫌な人が言ったことだから」とすべて消してしまうのは、ちょっともったいないですよね。

自分の時間を「黒歴史」にしないために

何より、その関係に使った時間やエネルギーは、まぎれもなく自分の人生の一部です。

それを「関わらなきゃよかった」「無駄だった」とすべて塗りつぶしてしまうと、自分自身の価値まで否定してしまうことになりかねません。

泥水の中にも輝く石がある

たとえるなら、泥水の中にも小さな宝石のようなものが沈んでいることがあります。関係全体は濁っていたとしても、その中にあった輝きを拾い上げていいのです。

「100%悪い関係だった」と決めつけるのではなく、「嫌な関係の中にも、拾えるものはあった」と思えると、自分の人生そのものへの見方も少し変わってくるのではないでしょうか。

自分を否定せずに前に進むために

たとえ相手がどれだけ嫌な人だったとしても、「ああはなりたくない」という気づきを与えてくれたなら、それもまた一つの学びです。嫌な経験だったからこそ、得られる視点もあるのです。

嫌な人間関係を、無理に美化する必要はありません。でも、「すべて無駄だった」と切り捨てるのではなく、「自分の経験の一部だった」と受け止めてあげることで、自分自身を肯定することにもつながるのではないでしょうか。

その関係の中にあった、わずかでも「良かったもの」を見つけておく。それは、次に進むあなた自身の力になるはずです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。