本来は、日本も韓国のように政府が主導しながら、制度をうまく活用することが理想的です。ソフトが優秀でも、ハードが機能しなければその効果は半減してしまう。
その点、中国や韓国は非常に官民の連携が取れていると感心してしまいます。習近平国家主席が握手をし、中東に中国歓迎ムードをつくった上で、中国の企業が進出していくように、日本も外交手腕を発揮しなければいけません。

石田和靖 著
下地をつくるのは政府の仕事。制度の間口をもっと広げて、例えば「アニメやゲームは成長産業なんだ」ということを他国にプレゼンしていく。そして、政府が予算を投じて切り拓いていかなければいけません。
一時期「クールジャパン」としきりに叫んでいましたが、ただあるものを広げて「これってクールでしょ」と強調しても、諸外国が食指を動かすことはありません。日本のアニメ制作会社やゲーム会社が、どんどん中東に進出しやすいような予算と環境をつくらなければいけないのに、まったくそういったニュースが政府筋からは聞こえてきません。
韓国はサムスンなどのメーカー製品だけではなく、韓流ドラマや映画、K-POPの海外進出を国が後押ししています。アニメこそ日本のプレゼンスが高いですが、アイドルや音楽といったエンタメにおいては歯が立ちません。動かなければ、いずれアニメやゲームコンテンツも二の舞になってしまいます。
現在、サウジアラビアもドバイも大規模なプロジェクトを進めています。街やリゾートの開発を行う中で、日本の外食産業や観光産業が進出するチャンスも十分あると思います。誰でも一歩を踏み出すのは怖い。だからこそ、その背中を押すのは、やっぱり国の仕事だと思うのです。