「わからないこと」は、脳を育てるチャンス

「わからない」「理解できない」という状態に直面したとき、それは脳にとって非常に価値のある訓練の機会です。

答えがすぐに手に入らないことで、脳は“考える力”を総動員します。このプロセスこそが、真の思考力・読解力・集中力を伸ばす源なのです。

頭の中で「反すう」する時間が記憶を定着させる

黙読後、完全に理解できなかったとしても心配はいりません。そのまま放置するのではなく、頭の中でなんとなく「こんな意味だったかな?」と繰り返し思い出してみることが大切です。

この「反すう」こそが、長期記憶への橋渡しになります。調べる前に、まずは自分の頭であれこれ考える――それが脳の成長を促します。

調べるタイミングは“あとから”でいい

もちろん、全く理解できないまま放置し続ける必要はありません。重要なのは、「まず読んで考える」ことを優先すること。

ひと通り読み終えた後、どうしても気になる部分だけを振り返って調べるようにすると、集中力もテンポも維持しやすく、理解も深まります

黙読は“自力で伸びる力”を鍛える時間

黙読を繰り返すことで、文章に対する耐性がつきます。一文の長さ、言い回し、文脈の飛躍などに“慣れる”という経験が積み重なり、いつの間にか難しい文章もスラスラ読めるようになっていくのです。

これは誰かに教わって得られる力ではありません。自分の中で地道に育っていく力です。

読む力を伸ばす「静かな革命」

黙読は、一見地味で、効率が悪そうにも見える学習法です。しかしその内側では、思考力・記憶力・読解力という学力の三本柱が、静かに、しかし確実に鍛えられていきます

目先の点数ではなく、「本物の力」を育てたいと願うなら――“読む”ことを、もっと信じていいのです。

※本稿は、『成績アップは「国語」で決まる! 偏差値45からの東大合格「完全独学★勉強法」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。