「完璧じゃない前提」で見ると、なぜか心が軽くなる。
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【精神科医が教える】人間関係に悩んだときに思い出してほしい1つのことPhoto: Adobe Stock

人はみんな少なからず「愚か」なところがある

今日は、「人はみんな愚かなの?」というテーマでお話ししたいと思います。

人間って、誰もが少しずつ“愚かさ”を抱えて生きています。私自身もそうですし、尊敬しているあの人も、正直ちょっと苦手なあの人も。

「愚かさがまったくない人」なんて、いないのではないでしょうか。

理屈じゃないことを私たちはやってしまう

人は、つい感情に流されたり、理屈に合わないことをしてしまったりするものです。やっちゃいけないとわかっていることでも、ふとした拍子にやらかしてしまうこともありますよね。

もちろん、そうした行動に出やすい人・出にくい人の違いはあるとは思います。でも、それを踏まえてもやはり、「人はみんな、どこかしら愚かだ」と私は思うのです。

誰もが完璧じゃないし、完璧であろうとすること自体が、すでに無理のある話かもしれません。

「愚かさ」を前提にすれば少しラクになる

私たちはつい、「相手はちゃんとしているはず」「こんなことはしないはず」と期待してしまいがちです。

でも、そうやって“愚かじゃないこと”を前提にしてしまうからこそ、誰かに裏切られたような気持ちになったり、許せない気持ちになったりするのかもしれません。

「人間ってそもそも愚かなところがあるよね」と思っておけば、不思議と腹が立たなくなってくるんです。

もちろん、「完全に許そう」と無理に思う必要はありません。でも、「まあ、しゃあないか」と思える余地が生まれるだけで、自分の気持ちもだいぶラクになります。

想像力を持つことで見え方が変わる

これは創作の世界でも同じで、私の好きな小説家がこんなことを言っていました。

「人間は誰でも、たまたま今そうじゃないだけで、何をやってしまうかわからない。自分が絶対やらない、とは思わないほうがいい」

この言葉を聞いて、私はとても納得しました。どんなにまじめな人でも、ある条件が重なれば、道を踏み外してしまう可能性がある。

それが“人間らしさ”でもあると思うのです。

自分も他人も「愚かさ」を抱えている

「その人がやってしまったこと」も、「自分にも起こり得たかもしれないこと」なのかもしれません。その想像力を少しでも持っているだけで、人に対する見方が変わります。

「ああ、愚かさって誰にでもあるよな」と思えれば、自分の感情も少し落ち着いてきます。

寛容さは自分を守る力にもなる

「人間はみんな愚かだ」と思えるようになると、他人を受け入れる力が育つだけでなく、自分を責めすぎることも減ります。

完璧でなくていい。失敗してもいい。みんな少なからず変なことをしながら、生きているんです。

だからこそ、少し大きな視点で、物事を見られるようになる。寛容さや包容力が育つことで、自分の心も穏やかになっていくのだと思います。

自分自身も含めて愚かさを前提に

よかったら、少しだけでもそんな視点で、世の中や人間関係を見直してみてくださいね。

自分自身も含めて、愚かさを前提にする――それだけで、生き方が少しだけ優しくなります。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。