ある建設関係者は憤った。
「万博協会が、日本で建設するにはこういうステップが必要だと参加国にちゃんと説明しないといけないのに、不十分だった。怠慢だと思う」
「受注のリスクが大きすぎる」
建設会社が受注をためらった理由
日本には、外国政府の仕事を受けた経験がある建設会社は大手を除けばあまりないという。
人手不足も深刻になっている。各国の個性的なパビリオンが建築基準法に合わなければ、設計し直す必要がある。夢洲への陸路は限られ、工事が順調に進まない恐れもある。建設が期限に間に合わないと、違約金を請求されるかもしれない。
そんな状況を受け、多くの建設会社は受注をためらった。
「ほんとに万博やるの?」
「開幕を1年延期してもいいと思う」
朝日新聞の報道により、海外パビリオンの建設遅れが表面化する5日前。関西のある中堅ゼネコン幹部は、そう語った。
このゼネコンにも各国からパビリオン建設の依頼が相次いだ。だが人件費や建材費が高くなって肝心の「うまみ」も少なく、深い話になる前に断ったという。
「万博の工事の利益率は(普段の)平均か平均以下で、ものすごくもうかるわけではない。万博のパビリオンを建てれば『名誉』にはなるが、受注のリスクが大きすぎて、よっぽどじゃない限りやりたくない」
ほかの建設関係者からも、「無理に万博の仕事をしても、今後の仕事につながらない」「参加国の予算は我々の見積もりの半額だった」といった声が上がった。
建設業界の「重鎮」も懸念した
タイプAの建設遅れ
日建連会長の宮本洋一(清水建設会長)も当時、海外パビリオンの建設遅れに強い危機感を抱いていた。