
大阪・関西万博の会場ではメタンガスの検出が度々話題となっている。実際、万博準備中の2024年3月にはガスに引火したことで爆発火災が起きており、安全性に懸念を示す声も噴出した。なぜ事故は起きてしまったのか。万博協会が漏らした本音とは――。※本稿は、朝日新聞取材班『ルポ 大阪・関西万博の深層 迷走する維新政治』(朝日新書、朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
「かなりの威力だったはず」
爆発火災が招いた損傷
大阪湾の人工島・夢洲の西部にある「グリーンワールド(GW)」。大屋根リングの外側にあり、万博会場の約3割を占める。空飛ぶクルマの発着場や屋外イベント広場のほか、バスなどの交通ターミナルも設ける「玄関口」の1つだ。
2024年3月28日午前10時55分ごろ。会期中には多くの子どもたちも訪れるこの場所で、爆発火災が起きた。
「走行中の車同士がぶつかったようなデカい音。巨大な風船が破裂したようにも聞こえた」
現場近くの屋外にいた男性作業員は、そう振り返った。揺れは感じず、火や煙も見えなかった。においがした記憶もない。
だが爆発が起きたトイレ棟(平屋建て約500平方メートル)のなかでは、目に見える被害が生じていた。
厚さ18センチのコンクリート製の床が割れ、鉄筋などの基礎はむき出しになった。生じた亀裂の幅は、約6メートル。修復が必要と判断される破損箇所は、約100平方メートルの範囲にわたっていた。