メタンガスに含まれるメタンは無臭・無毒で、都市ガスの主成分としても知られる。空気中の濃度が5~15%になれば、引火や爆発の恐れがあるという。空気より軽いため、地下から地上に湧き出てくる。
そのためGW工区では、地中に滞まったガスを地上に放つためにガス抜き管を設け、大阪市などが設置した団体が定期的にガス濃度も測っている。
GW工区の危険性は、爆発の前から懸念されていた。
23年11月の参院予算委員会では、社民党の福島瑞穂が「現場でメタンガスが出ている。火がついたら爆発する」と指摘した。
それに対して万博担当相の自見英子は、「大阪市が配管施設を設置し、ガスを大気放散していると聞いている。万博の開催時に危険性はないと考えている」と答えていた。
海外パビリオンや大屋根リングが集まる会場中心部「パビリオンワールド(PW)工区」はGW工区と違い、建設残土や河川から取れた浚渫土砂で埋め立てている。万博協会は可燃性ガスが発生しにくいとして、GW工区での爆発の後も工事を続けた。
「子どもを連れて行っても大丈夫?」
市民の不安に万博協会が漏らした本音
爆発を受けて、教育関係者や市民らに懸念が広がった。
大阪教職員組合、大阪府立高等学校教職員組合、府立障害児学校教職員組合の3団体は24年4月18日、府知事の吉村洋文と府教育委員会教育長の水野達朗あてに要望書を出した。
「万博開催中も同様の事故が起こる恐れがあります」
「学校現場や父母・府民から、『本当に子どもを連れて行っても大丈夫?』など心配する声が出ています」
そう記した念頭にあったのは、府が進める万博への子ども無料招待事業だった。日本の将来を担う子どもたちを万博に招き、先端技術などを見聞きして将来の進路について考えたり、世界の文化を体感したりしてもらう狙いがあった。
府内の公立と私立学校に通う小中高生は約88万人いる。府教委は来場日時の希望や人数などの意向について、学校側に調査を始める予定だった。