2階リビングのメリットは
「日当たり」と「風通し」
従来の住宅では1階リビングが定番でしたが、2階に設置する住宅が増えています。大きなメリットは日当たりと風通しでしょう。住宅密集地であっても2階であれば日射量を十分に確保できます。眺望のよい2階を生活拠点にするというのも豊かさにつながりますよね。また、1階の場合は2階の間取りの関係で吹き抜けにできない部分もありますが、2階はその心配はなし。天井がなくても問題ありません。そのため高さを利用した広い空間の演出ができるのです。
高さの演出は床でもできます。ダイニングの床を高くすれば、キッチンカウンターをダイニングテーブルにすることも可能。リビングでも小上がりの和室を設置して、小上がり部分を収納引き出しにするという設計もあります。
ここで重要なのが、リビング単体だけで考えないこと。事例の家はお風呂も2階に設置し、衣服の着脱から物干しまでが一連の流れでできるようにしています。このちょっとしたことが、長期的に見れば家事の大きな負担軽減になります。
ごくたまに「2階に生活拠点があると老後が心配」という声を聞きます。しかし、よく考えてください。2階の上り下りが困難な場合、誰かの介護や支援が必要な状態ではないでしょうか。そうなると“1階だから便利”“2階だから不便”という観点は不要になると思います。また、事例では夜に過ごすことの多い寝室や子ども部屋を1階に設けています。寝るときに日当たりを望む必要はありませんよね。彩光目的の小窓を設置しておけば十分で、これは断熱性を高めるとともに初期費用の削減にもなります。
このように一見、土地の条件が悪そうでも目的を明確にした設計にすれば、利便性や性能なども関連して高めることができるのです。
補足になりますが、1階に部屋数を多くすることで柱の数が増え、構造計算上、耐震性の観点でも有利です。