この症状もインプット不足です。単語や文法は、頭では仕組みを理解しているものの、実際の使い方がわかっていないので、当然ながらうまく使うことができないのです。

 多くの人は、インプットのプロセスをすっ飛ばしてアウトプットの練習をしようとするのですが、使い方がわからないのにいくら口から出そうとしても、出てこないのは当たり前です。

 アウトプットは1割でよいと言うと、「そんなに少なくていいんですか?」と驚かれることも非常に多いです。おそらく「日本人は会話練習が足りないから、ひたすら英語を話す機会を設けましょう」というアドバイスが流行しているからでしょう。

 安価なオンライン英会話の台頭もあり、このアドバイスを実践する人は爆発的に増えましたし、毎日のようにオンライン英会話を受講している人もいることでしょう。

 しかし、どれだけ英会話レッスンを受けても、十分なインプットがない状態では適切な表現が思い浮かばず、結局なかなかしゃべることができずに終わる、もしくは、すでに知っていて使い慣れている、限られた表現を繰り返すだけになってしまいます。

 インプットが不十分な状態でアウトプットをしても悪影響が出るわけではありませんが、自分の中にストックがないため、出るものも出てこないので「時間の無駄だ」というのが正直な意見です。

「スピーキングを伸ばすには、スピーキングの練習をするべきなのでは?」と訝しげに問われることも多いのですが、わたしの答えは「時間が余っていたり、先生と話すことが楽しいのであれば、続けてもらって構いません。ただ、それで英語力が上がることは期待しないように」です。