
毎週月曜朝に掲載している「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」は、ダイヤモンド・オンラインに移籍する前の日経ビジネスオンライン時代と合わせると15年以上続いている、超・長寿連載。こんなに長くやっていると、意外な人に意外な形で再会することがあるものです。今回登場していただくステランティスジャパンの小川隼平さんは、もともと日産出身で、ルノー・ジャポン社長として本連載に登場したことがある方。しかもそのときの記事では、今回取り上げている「ベルランゴ」のライバル、「カングー」についてフェルさんのインタビューを受けていました。ライバル車ルノー・カングーを最もよく知る日本人・小川さんが語る、シトロエン・ベルランゴの強みとは?(コラムニスト フェルディナント・ヤマグチ)
合羽橋・釜浅商店で奇跡の体験をしてきました
みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
今週も明るく楽しくヨタ話からまいりましょう。
ウィークデイに“あり得ない”体験をしてきましたので、そのご報告を。
フーディーの間ではつとに有名な、曙橋「鳥勝」(とりしょう)。
そして、山形県は村山市の丘の上に建つジンギスカン「ひつじや」。
この両店の奇跡のコラボレーションが、合羽橋・釜浅商店の上にあるシークレットキッチンで実現したのです。

異次元のおいしさの地鶏とマトンを堪能
鳥勝は、福永公彦氏自らが所有する農園で育てたさつま地鶏を供する、異次元の鳥料理屋。「地鶏」を称するには最低80日の飼育が義務付けられているのですが、福永氏は雄鶏に150日以上、雌鶏は実に1年以上もの時間をかけてじっくりと育て上げている。
鶏に限らず、食肉の“飼育期間”はコストでありリスクでもありますから、多くの生産者は可能な限り短い期間で出荷しようとする。ビジネスと割り切れば早期出荷が正解なのでしょうが、しかしそれでは決して“滋味”は生まれない。時間をかけて(つまりはコストをかけ、リスクを許容して)地面を走り回った鶏は、得も言われぬ味わいと歯応えを生み出すのです。

一方のひつじやも同断。国産羊の多くは飼育1年以内に「ラム」として出荷されます。臭みが少なく柔らかいラムは羊肉の王道とされていますが、残念ながら力強さには欠ける。西塚洋平氏はその3倍もの時間をかけて、やはりじっくりと飼育する。良質なエサを食べ、大地を駆け回った羊肉の力強さはケタ違いです。いわゆるマトンなのに臭みはゼロ。羊肉に対する概念、というよりも刷り込まれた“思い込み”が大きく変わります。

夢のコラボを実現させたのは、当欄にたびたび登場する名前を出したがらないMくんです。
不動産が本業なのですが、食に対する情熱がすごい。今回も彼のご相伴に預かった、という訳です。ありがとうMくん。

どちらも超予約困難店で、「行けない店を紹介してどないすんねん」という話なのですが、頑張ってツテを探して予約してみてください。待ってでも行く価値のある店です。

というわけで本編へとまいりましょう。
ステランティスジャパンの屋台骨を支える「ベルランゴ」のインポーターインタビューです。